
サステナビリティ ESG経営:社会 人的資本
人材戦略についての考え方
当社が大切にする価値観
日本トムソンは創業以来、人を大切にする「企業は人なり」の経営を実行してきました。人を大切にする経営とは、社員の価値観を高め、お客様にご満足いただける新しい価値を提供することに繋げる経営です。そのステップは、第一に社員が健康で安心して働けること。次に風通しの良い環境でいきいきと働けること。そして社員一人ひとりが社会やお客様のために行動し、自己実現できる環境作りにも取り組んでいます。
IKO VISION 2030に向けた人材戦略
日本トムソンは今回、社員の価値観向上に向けて、人と組織のありたい姿を「IKO VISION 2030」にまとめました。その中で、『人材開発』『適材配置』『多様性』を人事戦略の三本柱と位置付けて、人と社会の幸せのために行動し、その解決策を具現化し、自らの夢や志を実現していくプロフェッショナル集団となるために、様々な人事制度を改革していくことを宣言しました。
一つ目の『人材開発』実現への原動力は社会、お客様から信用・信頼される企業であり続けることが必要不可欠であり、それを支える誠実、真面目な社風と人材(人的資本)がIKOスピリットです。社員と役員、部下と上司の距離が近く、相手を尊重し忌憚のない意見を交わせる風土を醸成し、スピリットを体現していくことで人と組織の活性化に繋げます。
二つ目の『適材配置』は、事業戦略に基づき必要な場所に必要な人数を配置することを前提としたうえで、一人ひとりの特性に合わせた人員配置も重要です。とはいえ向き不向きを判断するためには、感覚値ではなく客観的な数値データが不可欠です。その実現に向けて、現在、統合型人事システムの導入を進行しており、社員個別の能力検査や取得している資格、過去の経験やプロジェクト履歴をデータ化し、タレントマネジメントシステムを導入することによって、社員の得意な業務や不得意な業務の可視化を行います。
三つ目の『多様性』ですが、多様性といったとき、お互いの異なる点のみに着目しがちですが、共通する何かしらの価値観を持っていなければ、ともにチームとして動くことは難しいと思います。多様性を活かすために重要となる一つの要素は、チーム内でコミュニケーションを密に行う環境作りです。様々な人が集まるため、密なコミュニケーションが必要不可欠であることから、近年は人事部門として新入社員、一般社員からマネジメント職や幹部層の社員に至るまで、社員との対話を重ねてきました。今後も人事部門として社員との対話を重視するだけでなく、各部門内での密なコミュニケーションが図れるよう施策を実行していきます。

人材開発
人材開発に対する現状
当社は高いリテンションを強みとした中長期視点での人材育成を志向しており、『経験に勝る育成はなし』を人材育成の理念に据えて社員一人ひとりが様々な経験を得られるような施策に取り組んでいます。
具体的にはOJTを人材育成の柱としており、当社の誠実、真面目な社風を体現する各職場での一人ひとりに丁寧に寄り添った教育体制により着実な成長を促しています。また、当社の特徴でもある『社会、お客様の課題解決』を最優先事項とする業務特性から、社員一人ひとりが日々の課題克服を通じて成長速度を加速しています。それに加えて、当社ではOff-JTにて各種の階層別教育を実施することでリーダー層育成に努めるとともに、部門毎での実践的な研修活動も実施しています。
また、社員の『自律性』の観点から自己啓発支援にも注力しています。当社では公的資格の奨励制度を有しているだけでなく、技能検定等の国家資格の取得奨励により毎年多くの資格保有者が誕生することで、社会やお客様の課題を解決できる提案力、技術対応力を培っています。
次世代リーダーの育成・輩出
このように各種育成施策を着実に実行する一方で、これら施策の人材マネジメント全体として有機的な連動性には課題があると考えています。このことから「IKO 中期経営計画2026」では、より中長期かつグローバル視点での『次世代リーダー』の育成・輩出を目指して人材開発機能の強化に取り組みます。具体的には、『求める人材像』を定義した上での戦略的人事ローテーションやグローバル人材育成施策、また業務を抜本的に改革し新たな価値を創造できるDX人材の育成に努めます。
指標 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|
階層別研修受講割合[%] | 10.0 | 13.6 | 12.6 |
1人当たり教育費[千円] | 20 | 30 | 31 |
適材配置
タレントマネジメント
人的資本に関する取り組みとして、社員一人ひとりの能力開発が重要であると同時に、組織機能の最大化や今後の成長領域の強化を意図した人材の配置も重要課題と位置付けています。当社には多様な属性の社員がいることから、人材のバランスを踏まえた人材ポートフォリオの構築により組織機能の最大化を図ります。そのためには精緻なタレントマネジメントの実行が必要不可欠と捉えており、当社では将来的なタレントマネジメントの導入を見据えて統合型人事システムの導入プロジェクトを進捗しています。2025年の稼働を目指しており、システム導入によりタレントマネジメントの基盤を築くことができるだけでなく、人事部門の抜本的な業務効率化により人事部門の戦略的機能の向上を図ります。
人材獲得に対する方針
現有社員の適材配置のみならず、少子高齢化や労働力人口の減少を見据えた人材獲得戦略も重点事項と捉えています。採用方針としては、採用形態、スキル、年齢、性別等の人材ポートフォリオの多様性を意識していますが、その中でも当社の強みである高いリテンションを活かした中長期的な人材育成を志向した新卒採用には特に力を注いでいます。採用活動においては、当社が求める人材要件との適合と当社理念への共感を強く意識し、当社と求職者双方が「一緒に働きたい」と思える感情マッチングを重視しています。そして、様々な媒体等を活用した求職者との接触機会創出や選考過程での徹底した相互理解を通じた入社意欲形成によって内定後辞退や早期離職の防止に努めることで、企業間での人材獲得競争が激化する中でも安定して人材を獲得しています。今後も当社の将来を担う人材の獲得に向けて取り組みを継続していきます。
指標 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|
自己都合退職率[%] | 1.1 | 2.4 | 2.0 |
入社3年目以内の離職率[%] | 13.5 | 4.9 | 3.8 |
多様性
ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)
当社では多様化する社会ニーズに対応するために人材の多様性確保を重要課題として、性別、年齢、国籍、職歴等に関わらずあらゆる人材に対して能力開発の機会を公平に提供することを基本とし、それぞれの働き方に合わせた支援策を講じることで人材の育成に取り組んでいます。特に育児に伴うキャリア断絶の防止には注力しており、育児休業取得者の所属部署と人事部門とで密に連携し、個別の悩みにも可能な限り対応することで育児と仕事との両立を支援しています。
指標 | 2022年3月末 | 2023年3月末 | 2024年3月末 |
---|---|---|---|
女性比率[%] | 12.3 | 12.8 | 13.3 |
女性監督職比率[%] | 10.9 | 11.9 | 13.1 |
女性管理職比率[%] | 1.0 | 1.5 | 1.9 |
女性新卒採用比率[%] | 34.6 | 25.8 | 30.8 |
エンゲージメント
当社では多様性に関する人材目標をD&Iに限定せず『国籍・性別・年齢を問わず、価値を認め合う企業風土が醸成され、全社員がやりがいを感じ、変革を求める人材集団』と位置付けており、部門や国籍を超えた協業体制の構築とエンゲージメント向上を目指して取り組みを進捗しています。
特に中長期的目線での人材育成を志向する当社にとってエンゲージメントは重要事項と捉えており、その実現には従業員が安心して働くことができる環境が必要不可欠と考えています。従業員の安心感の醸成にあたり、福利厚生を重要事項と捉えて、住宅関係や食事の補助等、従業員満足度を高めるべく、良好な関係を保つ労働組合との協調により各種制度の充実に注力しています。それに加えて、自己申告制度や目標管理制度による面談の実施にて、個人個人の成長意欲の醸成、キャリアプランの実現を通して、従業員のエンゲージメント向上を図っています。これら取り組みだけでなく今後はエンゲージメント測定を実施し、当社の実情を把握するとともに更なる人材価値、組織力の向上を目指します。
指標 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|
年次有給休暇取得率[%] | 62.8 | 68.0 | 73.4 |
平均残業時間[H:M] | 10:55 | 13:15 | 9:31 |
労働災害度数率 | 0.739 | 1.195 | 0.413 |
労働災害強度率 | 0.001 | 0.001 | 0.001 |
人的資本に関する指標と目標

1.計画期間
2022年4月1日~2025年3月31日
2.多様性の確保を含む人材育成方針に対する指標と目標
【指標】正社員の採用者に占める女性比率および管理職以上の女性人数
【目標1】正社員の採用者に占める女性比率を安定して20%以上とする。
2022年4月~ 女性優先の会社説明会を2回/年以上実施する。
2023年4月~ 女性優先のインターンシップを2回/年以上実施する。
2024年4月~ 女性の管理職・監督職のロールモデルの発信を実施する。
【目標2】管理職以上の女性を2022年3月比で1.5倍以上にする。
2022年4月~ 経営層を対象に、女性活躍に関する意見交換を実施する。
2022年9月~ 管理職養成のための研修カリキュラムの検討を行う。
2023年4月~ 管理職候補の女性を対象として研修を実施する。
2024年4月~ 管理職候補の女性社員を対象とした、キャリアプランに対する面談を実施する。
【目標3】管理職以上の女性を2030年3月末までに2022年3月比で5倍以上にする。
3.社内環境整備方針に対する指標と目標
【指標】育児休業制度の利用を促進ならびに男性社員の育児休業取得率向上
【目標1】育児休業制度の利用を促進する。
2022年4月~ 育児休業等の制度についての制度概要説明資料を作成する。
2022年7月~ 社内報にて会社の育児休業等の支援制度の周知を実施する。
2022年9月~ 育児休業等の制度についての制度概要説明資料を改定し、再度周知する。
2023年3月~ 育児休業等の取得状況を確認し、取得事例を社員に紹介する。
2023年4月~ 上記取り組みを継続する。
【目標2】男性社員の育児休業取得率を2030年度末までに85%以上にする。
導入実績制度

支援名称 | 内容 |
---|---|
育児休業制度 | 最大で子どもが満2歳になるまで取得可。 |
育児短時間勤務制度 | 最大で子どもが小学校3年生の3月末に達するまで、1日2時間まで 勤務短縮可。 |
看護休暇制度 | 小学校入学前の子どもの病気・ケガによる看護休暇。 子が1人であれば年間5日、2人以上であれば10日まで。 半日単位での取得も可。 |
介護休業制度 | 対象家族1人につき、通算して最大186日の範囲内で取得可。 |
介護短時間勤務制度 | 対象家族1人につき、3年の間で2回までの範囲内で、1日2時間まで 勤務短縮可。 |
介護休暇制度 | 対象家族1人につき年間5日、2人以上であれば10日まで。 半日単位での取得も可。 |
外部からの評価
「関市女性が働きやすい職場」に認定

日本トムソンの主力工場である岐阜製作所が「関市女性が働きやすい職場」として、関市役所から認定されました。これは、育児・介護や働く女性の母性健康管理、母性保護に関するルールの整備と定めなど13項目の条件を満たした企業が認定されるものです。
岐阜製作所では、現在約500名の女性が活躍しております。今後も、各職場が子育て世代の社員に配慮し、子供の学校行事や病気などによる休暇を取得しやすくするなど、女性がよりいきいきと働くことができるよう、更なる環境整備に努めてまいります。