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IKOエピソード 次世代技術を支えるIKO製品 vol.2

IKOが国内で初めて開発したニードルベアリングとは?


機械が動く際の摩擦を減らし、滑らかな可動を実現するベアリングは、自動車、産業用機器、家電といったあらゆる機械に欠かせない部品であることから「機械産業のコメ」とも呼ばれています。そんな現代社会の軸を成す多種多様なベアリングを開発・提供してきたのがIKOです。IKO製品を通して、ベアリングの仕組みや役割について解説するシリーズ「次世代技術を支えるIKO製品」の第2弾は、IKOが日本で初めて自社開発に成功した「ニードルベアリング」について特集します。

古代エジプトのピラミッド建築でもベアリングが使われていた!?

ベアリング(軸受)とは、機械が回転運動をする際、回転の「軸」を正しい位置に保ちながら接触面の摩擦を減らし、滑らかに動くのを助ける機械要素部品です。その歴史は非常に古く、ピラミッドの建材を運ぶのには「木の丸太」が使われたといわれていますが、これにもベアリングの原理が生かされています。現代では、輸送機器や生産機器、さらに家電製品などありとあらゆる機械に用いられています。

ベアリングの種類は、軸受が軸に直に接触する「滑り軸受」と、軸と軸受の間にボールやローラが入る「転がり軸受」の大きく分けて2タイプ。特に後者の転がり軸受は、メンテナンスが簡単で、また国際規格が統一されていることなどから、幅広い分野で使用されています。この転がり軸受の仲間の中でも、内輪と外輪の間にニードル(針)状の細いローラを組み込んだものが「ニードルベアリング」です。大きい負荷を受けることが可能で耐久性に優れる上、断面の高さが低いため、機械をコンパクトにできるベアリングとして、内燃機関、産業用ロボット、自動車やオートバイ、工作機械や建設機械など多様な分野で活躍しています。

国内初のニードルベアリングメーカーとして、多様な製品をラインナップ

IKOは、実は日本で初めてニードルベアリングを自社開発したメーカーです。その技術力と対応力を生かし、高品質で付加価値の高いさまざまなニードルベアリングを開発・提供してきました。

例えば、鋼材から削り出した外輪に細いローラを組み合わせた「旋削形ニードルベアリング」(写真1)。高い剛性と精度にコンパクトさを兼ね備えており、長年使用しても破損や故障を起こさない点が高く評価され、都内超高層ビルの建築現場で稼働するタワークレーンのワイヤ巻き上げ装置などに活用されています。


旋削形ニードルベアリング
写真1「旋削形ニードルベアリング」

また、厚肉の外輸に細いローラを組み込んだスタッド付きのニードルベアリング「カムフォロア」(写真2)は、カム機構や直線運動といった機械のさまざまな動きを支えるベアリングとして高い剛性と精度をもち、工作機械産業用ロボット電子部品装置、OA機器などの広い範囲で使用されています。


カムフォロア
写真2「カムフォロア」

そして、内輪と外輪の間に、ローラを交互に直交させる形で配列した「クロスローラベアリング」(写真3)は、上下左右のあらゆる方向からの荷重を一個のベアリングで支えられるのが特長。産業用溶接ロボットの関節部など、コンパクトさと耐久性が必要な場面で用いられています。


クロスローラベアリング
写真3「クロスローラベアリング」

お客様のニーズに細やかに対応しながら独自の開発を継続

IKOでは、特殊な形状や高精度の製品を求めるお客様の声に寄り添い、多彩なタイプのニードルベアリングを製造してきました。少量の注文に対しても、迅速・柔軟に生産を行い、納品後も全部門が一丸となってお客様からの相談に対応するなど、きめ細やかなアフターサービスを提供。さらに高温下での高速回転が求められるロードレース用モータサイクルエンジンなど、過酷な条件で使用されるタイプも開発するなどしてきた結果、製品の種類も納品先も多岐にわたっています。

また、お客様との日々のコミュニケーションを通して、市場の隠れたニーズもキャッチしながら、さまざまな現場の課題解決に繋がる新製品の開発にも力を入れています。その好例が、軸受内部への異物混入を防止するシール部品と、取付誤差により軸方向に生じる摩擦と摩耗を防止するスラストワッシャ部品を一体化し、前述のカムフォロアに搭載した新製品「CR-VBS」(図1)です。


CR-VBS」の内部構造解説
図1「CR-VBS」の内部構造解説

従来のカムフォロアは、シール部とスラストワッシャ部が別部品となっており、それぞれの単価も、両方搭載した際の組立コストも高くなっていました。それらの改善策として、新製品ではシール部からスラストワッシャ部へ続く厚みを滑らかに変化させて、両者の機能を確保しながら一体化に成功。開発では繰り返し試験を行いながら、耐摩耗性が高く、コストを抑えられる材料を選び、耐久性とリーズナブルな価格を実現しています。

目的や使用環境を考え、最適な提案を徹底的に検証

IKO製品を搭載した川崎重工業株式会社様のヒューマノイドロボット「Kaleido」
IKO製品を搭載した川崎重工業株式会社様のヒューマノイドロボット「Kaleido」

開発にあたっては、お客様が要求した仕様は妥当かどうかも含め、徹底した検証を行うのもIKO製品の特長。こうしたお客様目線の開発が生きたのが、災害対応用のヒューマノイド(人型)ロボットに、クロスローラベアリングを提案した事例です。このロボットは、等身大で重量が大きかったこともあり、転倒するたびに機体が損傷するという致命的な課題を抱えていました。そこでIKOでは、転倒防止に必要な関節部の滑らかな動きを実現するため、高剛性のクロスローラベアリングを提案。ガタつきが無く、スムーズで良好な動作性を高く評価していただきました。

お客様が希望されたベアリングの使用目的は何か? 要求された精度や寸法で問題はないか? コストアップにつながる必要以上に高度な要求になっていないか? そうした問いを重ね、信頼性とコストの両面を満足できる設計を目指したIKOのニードルベアリングは、高い精度と独自の仕様、さらに経済性を要求される状況で真価を発揮します。IKOでは今後も全部門で協力しながら、お客様に寄り添い、社会のニーズに合わせた製品を作り続けることで、お客様と一体となった成長と社会貢献を目指していきます。




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