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IKOエピソード スペシャリストたちの共演vol.1

共に切り拓く覚悟はあるか?

スペシャリストたちの共演vol.1

IKOには大きく分けて生産・販売・技術という三つの部門が存在します。この生・販・技の三位一体による課題解決力こそがIKOの真髄。ではこの三者はどのように絡み合うのでしょうか。実際にあった事例を読み物にしてお届けするシリーズ「スペシャリストたちの共演」第一弾は、IKOが医療機器市場に本格参入するきっかけの一つにもなった高精度医療機器の開発エピソードをピックアップ。当時のプロジェクトチームのメンバーだった三人の話をもとに、その舞台裏に迫ります。

7人のスペシャリストがプロフェッショナルチームを結成

エピソード6 7人のスペシャリストがプロフェッショナルチームを結成

新たに開発する高精度医療機器にIKO製品を使えないか——。2009年、IKOの東部支社管内にある一つの営業所に、精密機器メーカーからそんな依頼が舞い込んだ。

この機器は人間の遺伝子検査を支える解析装置で、検体が置かれたステージの移動と停止を制御する「位置決め機構」の精度が肝心になる。本プロジェクトの主要ミッションは「この位置決め機構を、ミクロン間隔で並んだサンプルの間を0.1秒台という高速で移動するようにし、移動後の微細な振動も素早く抑える」というもの。その上でかなりコストもシビアだった。

非常に高度なオーダーだったが、医療機器は有望市場だ。まして、次世代医療を切り拓く高精度解析装置となれば、IKO製品の真価を発揮する格好の舞台に違いない。

そこで、同営業所の所長を筆頭に、販売担当、メカトロ製品開発部の設計担当と計測担当、岐阜製作所の工場長という生・販・技のスペシャリスト5名と、3部門の調整役となる営業技術担当2名の計7名からなるプロフェッショナルチームが発足。新たな挑戦の幕が開いた。

3部門の絶妙な連携プレーは、チームを飛び越え全社に波及

エピソード6 3部門の絶妙な連携プレーは、チームを飛び越え全社に波及

まずは技術担当が最高精度を誇る製品シリーズで試験を行い、IKOにはすでにニーズを満たす精度があることを確認した。しかし、コストは先方要望の約10倍。ここから生産部門などとともに、精度とコストのベストバランスを探す長い旅がスタートした。

一方、装置本体の開発を手がける先方メーカーの要望に応えていくのも大切な仕事だ。こうした業務については、販売担当と営業技術担当がタッグを組んで丁寧に応対。当時東京本社に在籍していた営業技術担当は、週に何度も東京〜茨城間を往復しながら、先方に寄り添い続けた。

チーム外からの後押しもあった。例えば茨城まで駆けつける営業技術担当の東京本社での業務の穴は、同じ部署の仲間たちが手分けしてフォロー。開発途中でトラブルに見舞われた際には、品質保証担当が連日長時間に及ぶ検証作業を実施し、わずか一週間で原因究明に至った——ということもあった。さらに、現場を信頼することで、このような新たな取り組みへのチャレンジを奨励した上層部の英断も、見えないサポートの一つといえるだろう。

多数のハードルをIKOならではの絶妙な連携プレーで乗り越え、ゴールがようやく見えかけた2011年3月、最終局面にして最大のトラブルに見舞われる。東日本大震災。機器本体を製造していた先方メーカーの工場が被災し、開発プロジェクトは完全にストップした。

ベアリングメーカーらしい円滑な人間関係が成功の鍵

エピソード6 ベアリングメーカーらしい円滑な人間関係が成功の鍵

この絶望的な状況を切り抜けるエネルギーとなったのは、相手先メーカーにまで浸透していたプロジェクト単位の連携力だ。IKOの生産拠点は岐阜にあるため、震災によるダメージは比較的少ない。ここに機器本体の生産ラインを組むなどしてなんとか窮地を乗り越えた。この対応に追われた2週間、岐阜に滞在し続けた先方の担当者も、身も心もすっかりチームの一員になっていた。

結果、本プロジェクトは単体でメカトロ製品数百台の受注につながっただけでなく、それ以降のIKOの医療分野開拓を引き寄せるきっかけとなった。

成功の決め手は何か——。当時のプロジェクトチームのメンバーに聞くと、「課題に対応するスピード」と口をそろえる。このスピードを生み出していたものこそ、IKOの連携力といえるだろう。

上下左右関係なく、社内の誰にでも抵抗なく相談できるのがIKO

摩擦抵抗を限りなく少なくしたいと考えるベアリングメーカーには、その組織内部にも人と人とのつながりを滑らかにするような風土と文化が根付いている。




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