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サステナビリティ 日本トムソンの価値創造:事業戦略

当社グループの事業は、エレクトロニクス関連産業をはじめ、工作機械、輸送機器に至るあらゆる産業に欠かせない機械要素部品のご提供を通じて世界各地へと展開しています。お客様が抱える様々な課題やご要望にお応えした、高品質な製品をタイムリーにご提供していくことが価値創造の中心です。

バリューチェーンを担う事業部門はもちろん、外部のパートナー企業とも協働し、お客様の問題解決に真摯に取り組んできた価値創造の積み重ねが、IKOブランドの高い信用・信頼にも繋がっています。

一方で、デジタルシフトやAI、IoTの進化、SDGsをはじめとするサステナビリティを巡る社会的要請など、グローバル社会は歴史的な変革期を迎えています。将来リスクとなりうる課題に確実に対処するとともに、当社グループの強みを活かす新たな成長機会へ挑戦を続け、持続的な価値創造を実現します。

SWOT分析

SWOT分析

全社戦略の方向性

「中期経営計画2023」では、各事業部門が培ってきた強みの更なる「深化」に加え、中長期の社会変化に対応するための「挑戦」と「変革」をバランスよく実行し、目指す姿である「IKO VISION 2030」の実現を目指していきます。

未来の価値を創出し続ける経営のバランス

営業部門

お客様の声を形にできるソリューション提案力が価値創造の源泉
グローバル視点での「ニッチトップ」を展開するとともに成長への「道しるべ」を示していきたい
営業部門トップメッセージ

常務取締役

営業部門担当

木村 利直

環境認識と課題

創業以来、当社グループの収益基盤として成長の原動力となってきたIKOの「レガシー」ともいえるニードルシリーズ。最先端の半導体製造装置や先進医療機器など、技術革新のもとで今後も大きな成長が期待される直動シリーズやメカトロシリーズ。持続的な成長へ、バランスの取れた幅広い商品ラインアップは、時代の流れとともに変化するお客様の生の声を営業部門が敏感にキャッチし、未来のマーケットも見越しながら製品開発へと繋げてきた成果でもあります。

全世界レベルでのカーボンニュートラル実現に向け、CO2排出削減に向けた機械・装置の「ダウンサイジング」への要望は急激に増えており、今後も当社が得意としている小形タイプ製品に対するお客様からの期待は、ますます高くなるものと想定しています。そのような中、お客様のサステナブル経営に寄り添い、お客様目線に立ったソリューション提案をグローバルに展開していくことが、IKOの使命と認識しています。

特徴・強み

当社グループは、国内外に48の販売拠点(国内22、海外26)を構えており、直接販売を充実させることでお客様に密着し、国別・業種別・お客様別のニーズを的確に捉え、グローバル視点での「ニッチトップ」を狙う戦略商品の投入や重点地域へのリソース集中と体制強化を進めています。

また、特定のお客様や業界に特化した専門性の高い商社様とのパートナー連携を強化しており、より広範囲にきめの細かいサポートが可能な体制を構築しています。

当社は1950年に軸受商社として創業した背景もあり、そのDNAが現在の営業部門にもしっかりと引き継がれています。お客様の目線に立った提案型営業を信条に、自社製品の販売のみならず、アライアンスパートナー様との連携による商品や装置一式での販売・サービスのご提供など、常にお客様への付加価値向上を追求することで高い信頼を得ています。

長期ビジョン「IKO VISION 2030」の達成に向けた施策と今後の取り組み

成長の「道しるべ」としての役割

「IKO VISION 2030」の実現には、マーケットトレンドを正確に読み切る力が欠かせないと認識しています。営業部門は全社の成長戦略を導く重要な役割として、重点販売製品の長期需要予測「IKO Compass」を策定しています。Compassは、その名の通り当社グループの羅針盤の位置づけで、IKOグループの進むべき方向を示す機能を備えています。これは生産部門のみならず、技術部門や管理部門とも共有され、各部門はCompassを参考に施策を推進しています。変化が速いこの時代において、タイムリーかつグローバルな視点から方針を指し示すことは重要です。そのため、国内外のお客様の動向はもちろんですが、競合他社の最新情報もグループ全体で即時共有すべく「IKO Compass」は継続的にアップデートしています。市場の波に先んじて乗り、チャンスを掴みリスクを最小限に抑えること、変化に適応しながらも、ビジョンの実現への確かな方針を持ち続けることが重要と考えています。

成長の「道しるべ」としての役割

メカユニット事業の強化と付加価値の追求

近年の人手不足やサプライチェーンの問題がクローズアップする中で、お客様のニーズも変化しています。特に、FA装置業界では、これまで社内で行われていたモジュールや装置一式の設計・製造を外部委託(アウトソーシング)するケースも増え、軸受製品単体の機能・性能だけでなく、特殊なユニットでの対応能力も求められるようになりました。我々はこの変化をメカトロビジネスの成長のチャンスと捉え、幅広い技術を備えたパートナー企業との連携を強化することで「メカユニット事業」の成長を目指しています。「IKOパートナー企業認定制度」を新たに導入し、技術対応力・品質管理・環境対応面にもIKOブランドを保証する独自の審査を徹底し、お客様の安心とともに製品の提供価値を高めていきます。

メカユニット事業の強化と付加価値の追求

メカユニットの製作事例

長年培ってきたメカトロの技術でパートナー企業とともに、最適なメカユニットを作り上げています。

メカユニットの製作事例

技術開発部門

“IKOブランド”を支える独自の高い技術力が価値創造の源泉
「マーケットイン」と「プロダクトアウト」の両輪で
「新たな価値」を創造しお客様とともに成長していきたい
技術開発部門トップメッセージ

常務取締役

技術部門担当

笠原 信

環境認識と課題

軸受や直動案内機器は、正確で滑らかな運動を行うための機械要素部品であり、摩擦による発熱やエネルギーの損失を低減させることで、あらゆる機械・装置の性能向上に貢献しています。

世界全体でデジタルシフトが加速する中、IoTやAI、スマートファクトリー等、次世代技術の発展は著しく、当社製品への需要は更に拡大することが見込まれます。特に、半導体の微細化、医療産業の先進化等により、軸受機構に対する小型・高機能・高精度化など、ハイスペックへのニーズが高まるとともに、用途別のニーズは細分化しており、技術課題も多様で複雑なものとなっています。

当社が得意とするローラ案内とスモールサイジングの技術をベースにしながら、高負荷容量・高剛性・長寿命・低摩擦・低振動・低発じん・耐温度環境・耐真空など、幅広い要求に対応すべく、研究開発を継続、深化していきたいと考えています。

特徴・強み

技術開発部門では、常にお客様のご要望に耳を傾け、一つひとつの課題解決に誠実に向き合う姿勢を最も大切にしています。

高品質・高精度なIKOブランドとしてその発展を支えた高い技術力は、お客様の「こうしたい」という声に対して、生産部門と一体になって確実に具現化し、一つひとつの課題を乗り越え積み重ねてきた長年の経験とノウハウの蓄積にほかなりません。

技術開発部門のメンバーが直接お客様を訪問することはもちろん、全国で開催される展示会にもアテンドして積極的にお客様とのコミュニケーションを図っています。その活動でご相談いただいたお客様の課題については、徹底的に検討し最適な提案を行っています。

お客様との信頼関係構築から始まる新たなスタンダードづくりに技術開発部門は挑戦しています。

長期ビジョン「IKO VISION 2030」の達成に向けた施策と今後の取り組み

「マーケットイン」と「プロダクトアウト」の両輪をバランスよく

技術開発部門では、「既存市場ニーズをより深く満たす新製品開発」「ブランド力の向上」「新たな価値の創造」を重点ミッションとして各施策に取り組んでいます。

新製品開発においては、長年リニアローラウェイをご使用いただいている工作機械メーカーを中心とするお客様からのご要望にお応えすべく、超高精度な案内を実現した「LRX ZERO」を昨年の日本国際工作機械見本市で発表しました。メカトロシリーズにおいては、当社の得意とする小形直動案内機器とリニアモータを組み合わせた製品を拡充するとともに、お客様ごとのカスタム製品や複合ユニット製品の開発にも注力しています。お客様との対話によってニーズや課題を的確に捉える「マーケットイン」の開発と、技術起点のアイデア製品を先行試作し、お客様のまだ気づいていない潜在的なニーズを引き出す「プロダクトアウト」の開発の両輪のバランスを取りながら、他社との差別化を図っていきます。

「マーケットイン」と「プロダクトアウト」の両輪をバランスよく

オープンイノベーションによる技術の深化に向けて

技術開発部門では長期ビジョンの達成に向け、新技術・新領域への挑戦を続けています。また、社内技術に頼るばかりでなく、大学や研究機関、企業との連携を強化しながら、新たな応用製品の開発を目指しています。その代表的な例が、2016年に山梨大学と共同開発をスタートさせた「液晶潤滑剤」です。この潤滑剤は、「蒸発」「アウトガス・発じん」といった特殊用途で求められる特性に優れており、電子部品や半導体製造装置などでの軸受機構の適応拡大が期待されています。このように、オープンイノベーションを積極的に活用することで技術を深化させ、世の中にない新しい価値を創造していきます。

オープンイノベーションによる技術の深化に向けて

生産部門

モノ創りへの“プライド”が価値創造の源泉
高品質を創りこむIKO独自のノウハウをグローバルに進化させたい
生産部門トップメッセージ

専務取締役

生産部門担当

秀島 信也

常務取締役

生産部門副担当

岡嶋 徹

環境認識と課題

従来ベアリング業界は、主に自動車関連向け製品の大量生産スタイルが中心の産業構造でしたが、昨今のEV化の流れを受け、これが変わりつつあります。こうした変化の中でも、当社グループが注力してきた領域におけるニードルシリーズは安定的な需要が見込まれており、これまで確立してきた「多品種生産」体制を更に高度化していくことが競争力強化への課題となります。直動シリーズにおいては半導体産業を中心とする著しい市場成長に応える供給能力の強化とあわせ、変動の激しいビジネスサイクルへの「即応力」の強化も課題となっています。

持続可能なサプライチェーンの構築に向け、環境や人権に配慮した調達・生産活動、健康で安全な働きがいある労働環境の実現は、避けて通れない課題です。“地域密着型のモノ創りでグローバルに貢献する”ことをミッションに取り組んでいきます。

特徴・強み

当社グループのモノ創りにおける最大の強みは、何と言っても「品質」です。お客様からの信頼を築いているのは、高品質への徹底的なこだわりです。また、多品種対応力が当社グループの価値源泉であり、お客様の多様なニーズに対応するために、生産部門が如何に柔軟に対応できるかが大きな課題です。

ニードルシリーズでは、小ロット生産方式と在庫最適化による幅広い製品ラインアップを実現し、それをお客様のご要望に合わせてタイムリーに提供しています。また、直動シリーズでは、1㎜単位でのレール長さ指定をはじめ、カスタマイズ製品を1本から受注するなど、きめ細やかな対応が可能です。

高品質へのこだわりと「多品種」や「カスタマイズ」への ニーズに最適な形で対応できる設備開発、工程設計、生産・在庫計画、取引先様との連携に至るまで、IKO独自のモノ創りノウハウが当社グループの強みとなりIKOブランドを支えています。

長期ビジョン「IKO VISION 2030」の達成に向けた施策と今後の取り組み

組織改編によるグローバル体制の最適化 〜お客様のご期待へ「即応」する体制へ〜

本年4月、生産部門では製品シリーズ別の事業管理体制へ組織改編を行いました。製品シリーズごとに、試作対応から品質・生産管理までを一元的に管理することで、サプライチェーン全体の統括機能を強化し、お客様のご要望を「迅速」「的確」「柔軟」に反映させる「即応力」の向上を目指しています。更に、その実現に向けて「生産革新統括部」を新たに設立しました。

この部署は将来のグローバル生産体制を企画するとともに、自動化を含む新技術や新工程の開発など、将来の成長に向けた基盤づくりに注力しています。

日本・ベトナム・中国の生産3極での統合的な取り組みを強化するとともに、地域ごとの特性を最大限に活かしながらIKO独自の最適な生産体制を構築していきます。今後も、お客様の多種多様なご期待に「即応」できる生産体制と技術力の強化を進め、より一層の企業価値向上に貢献していきます。

IKOグループグローバルサプライチェーンの強化

IKO-GP会 〜モノ創りの根幹を支える人材創出を目指して〜

IKO-GP(GEMBA POWER)会は、製造現場の監督職同士が相互研鑚する場であり、若手人材の育成と組織強化を促進しています。各工場を代表する現場監督職メンバーが集い、会社方針や長期ビジョンなど共通の目標について議論を深めることで主体的な課題発見とその解決に向けて取り組んでいます。こうした横の連携の強化により、単に現場の視点だけでなく、会社組織全体への理解を持ち、モノ創りのプロセスを変革する能力を育んでいます。

IKO-GP会は会長以下、全てが監督職で構成される組織であり、生産部門が大切にする「六つのこだわり」ごとに委員会を設置しています。こうした委員会を通じて、メンバー同士が専門知識や経験を共有し、詳細な分析を行い、課題解決に結びつけています。今後は、グローバル拠点間の人材交流も積極的に進める予定です。異なる文化や背景を持つメンバー同士が共同で問題に取り組むことで、新たな価値を生み出す役割を果たすことも目指しています。

我々は、当社ブランドに込められたIKO (Innovation,Know-how,Originality)を具現化し、他社には真似できないグローバルな生産システムの構築に向けて、着実な進展を遂げていきます。

バリューチェーン全体での「モノ創りシステム」を強化



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