第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国の経済は、欧州債務問題の長期化やアジア新興国等の経済成長鈍化に加え、円高の影響も受けて輸出は減少し、設備投資抑制の動きが強まるなど、先行き不透明な状況で推移いたしました。海外経済は、米国景気は緩やかな回復基調にありましたが、欧州では債務問題による景気低迷が続き、中国等の新興国経済も市況が悪化いたしました。このように、当社グループを取り巻く経営環境は、国内外とも厳しい状況が続きました。

このような情勢のもとで、当社グループといたしましては、グローバル市場での事業拡大を図るとともに、国際競争力を強化させるための諸施策を推進いたしました。

販売面につきましては、国内外で「ユーザーに密着した提案型営業活動」を積極的に展開し、IKOブランドの市場浸透と販売拡大に注力いたしました。また、海外市場に対して迅速かつ確実なシェア拡大を図るために、海外営業部門を再編するとともに、人員の増強による営業展開力を強化いたしました。更に、今後も需要拡大が見込まれる中国において、販売子会社である艾克欧東晟商貿(上海)有限公司では青島と瀋陽に新たな拠点の開設準備を進め、中国市場における営業基盤の拡充に取り組みました。なお、青島事務所は本年3月1日に、瀋陽事務所は本年4月1日に活動を開始しております。

製品開発面につきましては、当社の独自技術により環境負荷の低減とユーザーの給油管理工数の削減を両立させた製品「メンテナンスフリーシリーズ」において、ローラタイプをはじめとする直動案内機器の品揃えを強化しましたほか、軽量・コンパクト化を実現した精密位置決めテーブルの製品バリエーションを拡充し、幅広い産業分野の需要開拓を推進いたしました。

生産面につきましては、グローバル戦略の重要な生産拠点としてIKO THOMPSON VIETNAM CO., LTD.の生産能力を増強し、海外生産体制の強化を図りました。また、材料や部品等の海外からの調達を積極的に推進するなど、調達の最適化やコスト競争力の強化に取り組みました。

当社グループの営業状況をみますと、国内市場においては、世界経済の減速を背景として総じて需要が低迷したことなどから、売上高は減少いたしました。海外市場においては、北米地域は、前期に引き続き好調を維持し、前期並みの売上高となりました。欧州地域は、域内の経済情勢悪化に加え円高の影響もあり、売上高は大幅に減少いたしました。アジア地域では、中国の販売子会社が景気減速の影響を受けましたほか、その他のアジア地域においても、経済成長の鈍化等により、厳しい状況にありました。

これらの結果、当連結会計年度の売上高は35,962百万円(前期比15.4%減)となりました。収益面につきましては、引き続き原価低減や経費抑制に努めましたが、減収・減産の影響を大きく受け、営業利益は1,185百万円(前期比61.2%減)、経常利益は1,465百万円(前期比48.7%減)となりました。また、減損損失等の特別損失を1,245百万円計上したことにより、当期純損失が124百万円(前期は当期純利益2,827百万円)となりました。

また、当連結会計年度における軸受等の生産高(平均販売価格による)は26,888百万円(前期比43.8%減)となり、軸受等ならびに諸機械部品の受注高は34,711百万円(前期比12.6%減)となりました。

 

セグメントについて、当社グループは、軸受等ならびに諸機械部品の製造・販売事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。なお、部門別売上高では、軸受等は31,577百万円(前期比15.4%減)、諸機械部品は4,385百万円(前期比15.3%減)となりました。

 

 
部門別売上高
 
 
 
 
 
 
区分
前連結会計年度
当連結会計年度
比較増減
 
(自 平成23年4月1日
(自 平成24年4月1日
 
  至 平成24年3月31日)
  至 平成25年3月31日)
 
金額(百万円)
比率(%)
金額(百万円)
比率(%)
金額(百万円)
伸び率(%)
 
軸 受 等
37,329
87.8
31,577
87.8
△5,751
△15.4
 
諸機械部品
5,176
12.2
4,385
12.2
△791
△15.3
 
売上高合計
42,505
100.0
35,962
100.0
△6,542
△15.4

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は9,967百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,740百万円減少しました。

 

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動により支出されたキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ2,033百万円減少し352百万円となりました。これは主に、減価償却費3,048百万円、減損損失1,161百万円、たな卸資産の減少額1,823百万円等による収入項目と、仕入債務の減少額5,054百万円、法人税等の支払額1,404百万円等の支出項目との差額によるものであります。

 

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動により支出されたキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ6,277百万円減少し2,768百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得等によるものであります。

 

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動により支出されたキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ5,902百万円増加し1,561百万円となりました。これは主に、長期借入れによる収入1,834百万円、長期借入金の返済による支出2,981百万円、社債の発行による収入5,000百万円、社債の償還による支出4,000百万円等によるものであります。

 

なお、事業の状況における記載金額には、消費税等は含まれておりません。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

当社グループは、軸受等ならびに諸機械部品の製造・販売を単一の事業として運営しているため、生産、受注および販売の状況は、「1 業績等の概要 (1) 業績」に一括して記載しております。

 

 

3 【対処すべき課題】

(1) 当社グループの対処すべき課題

今後の見通しにつきましては、海外においては、欧州経済は依然として予断を許さず、景気回復には時間がかかると思われるものの、米国経済は引き続き堅調に推移するものと思われます。アジア新興国等においては概ね景気は持ち直し、緩やかながら拡大するものとみられます。日本経済は、政府の金融政策や経済対策等の効果が徐々に実体経済に波及し、円高の修正と海外経済の回復により輸出環境が改善されるなど、景気回復に向けた動きが進展していくものと期待されます。

また、中長期的な見通しにつきましては、当社グループの事業分野は、機械産業およびエレクトロニクス産業の世界的な成長に伴い、工作機械産業や半導体製造装置産業をはじめとした幅広い業種において需要は着実に拡大するものと見ており、さらに、地球温暖化防止という世界的な潮流を背景に、機械装置の小型化・省力化ニーズに応える当社グループ製品は、成長性のある事業分野であると考えております。

事業の発展および今後の見通しを踏まえまして、当社グループといたしましては、軸受等の製造販売を通じて、世の中から信頼され、必要とされ、さらに存在感のある企業グループとして発展していくために、環境変化に柔軟に対応しつつ、国際競争力を高めるための諸施策を推進してまいります。

 

(ア)  販売活動につきましては、販売政策の柱となる「ユーザーに密着した提案型営業活動」を積極的に展開し、IKOブランドのさらなる浸透に努めるとともに、より効率的な販売体制の見直し、既存市場の取引深耕や成長分野の新規開拓等による販売拡大を目指してまいります。特に、潜在需要の大きな中国では、現地法人の艾克欧東晟商貿(上海)有限公司による現地代理店の技術支援を強化し、積極的に中国市場の需要開拓を進めてまいります。その他のアジア地域においても、新たな拠点の設置による販売網の充実を検討し、米州や欧州においては有望地域の販売網の強化等により、グローバル市場で販売拡大を加速させるための諸施策を推し進めてまいります。

 

(イ)  製品開発につきましては、引き続きユーザーニーズに応えた高付加価値製品の開発に注力してまいります。さらに、世界各地域の需要動向やニーズを見極め、ユーザーが求める価値観を共有し、当社の持つ高い技術力を駆使してユーザーの視点に立った製品開発に取り組んでまいります。

 

(ウ) 生産活動につきましては、材料や部品等は国内外から最適な調達を実施するとともに、現地法人のIKO THOMPSON VIETNAM CO.,LTD.において生産品目の拡充をさらに推進するなど、安定した品質とコスト競争力を両立させ、国際競争力の向上につなげてまいります。国内生産拠点につきましても、多品種生産体制の特長を活かしたきめ細かな生産対応により、顧客満足度の向上を図ってまいります。

 

 

(エ) 社会の信頼を得ながら、当社グループが引き続き発展するためには、法令遵守や社会貢献についての取り組みも重要な課題のひとつとして捉えております。環境面では、国際規格「ISO14001」に基づく保全活動の継続のほか、当社グループの環境保全への取り組みを象徴する「オイル・ミニマム(Oil Minimum)」をキーワードとした積極的な環境負荷低減製品の開発を推進しております。また、社会から信頼される体制整備のため、内部統制システムの整備・運用等を、引き続き推進してまいります。

 

(2) 株式会社の支配に関する基本方針

① 基本方針の内容の概要

当社は、当社の企業価値が、「社会に貢献する技術開発型企業」という企業理念に基づいて、永年にわたり蓄積してきた営業・技術・生産のノウハウ等を駆使した機動性のある企業活動に邁進し、国内外の社会の発展に貢献することにより、株主の皆様共同の利益を向上させていくことにその淵源を有していると考えております。そのため、当社は、特定の者またはグループによる当社の総議決権の20%以上に相当する議決権を有する株式の取得により、このような当社の企業価値または株主の皆様共同の利益が毀損されるおそれが存する場合には、かかる特定の者またはグループは当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であるとして、法令および定款によって許容される限度において、当社の企業価値または株主の皆様共同の利益の確保・向上のための相当な措置を講じることを、その基本方針といたします。

 

② 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みの概要

当社は、平成25年5月13日開催の取締役会において、基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みの一つとして、平成23年6月29日開催の当社第62回定時株主総会において株主の皆様のご承認をいただいたうえで継続していた当社株式の大規模買付行為に関する対応方針につき、所要の変更を行ったうえで(以下変更後の対応方針を「本プラン」といいます)、引き続き継続することを決議し、平成25年6月27日開催の当社第64回定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます)において株主の皆様のご承認をいただきました。また、当社は本プランの継続に伴い、独立委員会を引き続き設置しており、独立委員会委員として、伊集院功、佐藤順哉、武井洋一、那須健人の4氏を選任いたしました。

本プランの概要は、以下に記載のとおりですが、本プランの詳細につきましては、当社ホームページに掲載の平成25年5月13日付プレスリリース「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)の一部変更および継続に関するお知らせ」をご覧下さい。
(参考URL: http://www.ikont.co.jp/)

1) 本プランの目的

本プランは、大規模買付者に対して事前に大規模買付行為に関する必要な情報の提供および考慮・交渉のための期間の確保を求めることによって、当該大規模買付行為に応じるべきか否かを株主の皆様が適切に判断されること、取締役会が、当該大規模買付行為に対する賛否の意見または代替案を株主の皆様に対して提示すること、あるいは、株主の皆様のために大規模買付者と交渉を行うことなどを可能とし、もって当社の企業価値ないし株主の皆様共同の利益の確保・向上を実現することを目的としています。

 

2) 本プランに基づく対抗措置の発動に係る手続

(a) 対象となる大規模買付行為

次のアからウまでのいずれかに該当する行為またはその可能性のある行為がなされ、またはなされようとする場合に、本プランに基づく対抗措置が発動される場合があります。

ア 当社が発行者である株券等に関する当社の特定の株主の株券等保有割合が20%以上となる当該株券等の買付けその他の取得

イ 当社が発行者である株券等に関する当社の特定の株主の株券等所有割合とその特別関係者の株券等所有割合との合計が20%以上となる当該株券等の買付けその他の取得

ウ 上記アまたはイに規定される各行為が行われた否かにかかわらず、当社の特定の株主が、当社の他の株主(複数である場合を含みます。以下本ウにおいて同じとします)との間で、当該他の株主が当該特定の株主の共同保有者に該当するに至るような合意その他の行為、または当該特定の株主と当該他の株主との間にその一方が他方を実質的に支配し、もしくはそれらの者が共同ないし協調して行動する関係を樹立する行為(ただし、当社が発行者である株券等につき当該特定の株主と当該他の株主の株券等保有割合の合計が20%以上となるような場合に限ります)

(b) 大規模買付者に対する情報提供要求

大規模買付者には、大規模買付行為の開始または実行に先立ち、意向表明書および大規模買付情報を提出・提供していただきます。

(c) 取締役会評価期間の設定等

取締役会は、対価を現金(円貨)のみとする公開買付けによる当社の全ての株券等の買付けが行われる場合には、最長60日間、それ以外の場合には、最長90日間の期間を、取締役会評価期間として設定し、当社の企業価値および株主の皆様共同の利益の確保・向上の観点から、企図されている大規模買付行為に関して評価、検討、意見形成、代替案立案および大規模買付者との交渉を行うものとします。

(d) 独立委員会の勧告および取締役会による決議

独立委員会は、大規模買付者が大規模買付ルールにつきその重要な点において違反した場合で、取締役会がその是正を書面により当該大規模買付者に対して要求した後5営業日以内に当該違反が是正されない場合には、原則として、取締役会に対して、大規模買付行為に対する対抗措置の発動を勧告します。

他方、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合、独立委員会は、原則として、取締役会に対して、大規模買付行為に対する対抗措置の不発動を勧告しますが、大規模買付ルールが遵守されている場合であっても、当該大規模買付者がいわゆるグリーンメイラーである場合等一定の事情を有していると認められる者である場合には、取締役会に対して、対抗措置の発動を勧告します。

取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重したうえで、対抗措置の発動または不発動その他必要な決議を行うものとします。なお、取締役会は、一定の場合には、対抗措置を発動するか否かを株主の皆様に問うべく株主総会を招集することができるものとします。

 

(e) 対抗措置の具体的内容

当社が本プランに基づき発動する大規模買付行為に対する対抗措置は、新株予約権の無償割当てによるものを想定しておりますが、会社法その他の法令および当社の定款が取締役会の権限として認めるその他の措置を発動することが相当と判断される場合には当該措置が用いられることもあり得るものとします。

 

3) 本プランの特徴

(a) 基本方針の制定

本プランは、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を制定したうえで、継続されたものです。

(b) 独立委員会の設置

当社は、本プランの必要性および相当性を確保するために独立委員会を設置し、取締役会が対抗措置を発動する場合には、その判断の公正を担保し、かつ、取締役会の恣意的な判断を排除するために、独立委員会の勧告を最大限尊重するものとしています。

(c) 株主総会における本プランの承認

本プランにつきましては、本定時株主総会において、株主の皆様のご承認をいただきました。

(d) 適時開示

取締役会は、本プラン上必要な事項について、適用ある法令等および金融商品取引所規則に従って、適時適切な開示を行います。

(e) 本プランの有効期間

本プランの有効期間は、原則として、本定時株主総会における本プランの承認時から本定時株主総会終了後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会後最初に開催される取締役会の終結時までとします。ただし、かかる有効期間の満了前であっても、株主総会において本プランを廃止する旨の議案が承認された場合、または取締役会において本プランを廃止する旨の決議が行われた場合、本プランはその時点で廃止されるものとします。

4) 株主の皆様への影響

(a) 本プランの効力発生時に株主の皆様へ与える影響

本プランの効力発生時には、新株予約権の発行自体は行われません。したがって、本プランが本プラン効力発生時に株主の皆様の権利および経済的利益に直接具体的な影響を与えることはありません。

(b) 新株予約権の無償割当て時に株主の皆様へ与える影響

対抗措置として新株予約権の無償割当てが行われた場合においても、保有する当社株式1株当たりの価値の希釈化は生じるものの、保有する当社株式全体の価値の希釈化は生じないことから、株主の皆様の法的権利および経済的利益に対して直接的具体的な影響を与えることは想定しておりません。ただし、例外事由該当者については、対抗措置が発動された場合、結果的に、その法的権利または経済的利益に何らかの影響が生じる可能性があります。

 

 

③ 上記の取り組みに対する取締役会の判断およびその理由

当社は、前記②1)記載のとおり、本プランは企業価値または株主の皆様共同の利益の確保・向上をその目的としており、基本方針に沿うものと考えます。特に本プランは、1)株主総会において本プランを廃止する旨の議案が承認された場合には本プランはその時点で廃止されるものとしており、その存続が株主の皆様の意思にかからしめられている点において株主の皆様のご意思を重視していること、2)大規模買付行為に関する評価、検討、意見形成、代替案立案および大規模買付者との交渉を行うにあたり、取締役会が独立した第三者的立場にある専門家の意見を取得できること、3)独立性の高い独立委員会の設置を伴うものであり、対抗措置の発動に際しては必ず独立委員会の勧告を経る仕組みとなっているうえ、独立委員会は更に独立した第三者的立場にある専門家の意見を取得できること、4)対抗措置の発動、不発動または中止に関する判断の際に拠るべき基準が設けられていることなどから、当社は、本プランは当社の企業価値または株主の皆様共同の利益を損なうものではなく、当社の取締役の地位の維持を目的とするものではないと考えております。

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの事業展開上、経営成績および財政状態に影響をおよぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。当社グループは、これらリスク発生の可能性を認識した上で、発生の予防および発生した場合の対応に努める方針であります。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成25年6月27日)現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 市場環境

当社グループの売上高の内訳は、軸受等が全体の85%程度、諸機械部品は15%程度でありますが、当面、この傾向に大きな変化はないものと考えております。また、新たな事業への進出は、現在のところ考えておりません。

当社グループの製品は、国内外のエレクトロニクス関連機器、工作機械、自動車・自動二輪車をはじめ、ロボット、建設機械や一般産業機械等の幅広い分野で使用されておりますが、その中でも特に半導体製造装置や電子部品実装機等のエレクトロニクス関連機器向け、工作機械向け等、特定産業分野への売上比率が相対的に高くなっております。他業種向けの販売拡大に努め、売上比率の高い分野の需要変動による影響の緩和を図っておりますが、特定産業分野における急激な需要の縮小は、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響をおよぼす可能性があります。また、日本、北米、欧州、アジアを含む当社グループの主要市場における景気後退およびそれに伴う需要の縮小は、当社グループの経営成績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。

 

(2) 為替変動

当社グループは、北米、欧州、アジアをはじめとした世界市場へ製品の販売を行っております。そのため、為替予約等により為替相場の変動リスクをヘッジしておりますが、そのリスクを全て排除することは不可能であります。また、米国、オランダおよび中国等の海外連結子会社における売上、費用、資産を含む外貨建て項目は、連結財務諸表作成のために円貨換算しており、為替相場の変動の影響があります。

 

 

(3) 海外における事業活動

当社グループは、海外市場における事業比率が高まってきているため、海外諸国の法律、規制等の変更や、政治、経済等の混乱等により、事業活動に影響をおよぼす可能性があります。

 

(4) 製品開発

当社グループが生産・販売する製品は、販売戦略の根幹である「ユーザーに密着した提案型営業活動」により収集されたユーザーニーズを反映させた製品であり、競合他社製品との差別化を図った製品を多数開発し、市場に投入しております。しかしながら、品質、性能の優位性よりも廉価な類似製品に需要が傾斜した場合、当社グループ製品の付加価値に見合った販売価格の設定が困難になる恐れがあります。

 

(5) 生産体制等

当社グループは、常に変化する国内外市場の需要と短納期化の要請に応えるため、資材、生産設備等の先行投資が不可欠であると考えております。従いまして、ユーザーからの需要の変化に柔軟に対応できる生産体制の維持・改善に努めておりますが、予想を超える短期間での需要の変化は、供給の遅延やコストの増加を招く恐れがあります。また、当社グループは、製品の製造に使用する原材料や部品を外部より調達しております。これら原材料等は、市況の変化による価格の高騰や品不足、供給元の生産能力不足や火災、倒産、自然災害等の理由により原材料等の調達に支障をきたす可能性があります。その場合、当社グループの経営成績は、製品の製造原価の上昇や生産停止等により悪影響を受けることがあります。

 

(6) 製品品質の維持

当社グループ製品の品質管理は、品質管理システムをもとに万全を期して行っております。しかしながら、原材料・製造工程・品質管理等の原因により出荷不能な製品や顧客からのクレームが発生した場合には、賠償責任等により当社グループの経営成績に影響をおよぼす可能性があります。

 

(7) 取引先の債務不履行

取引先の信用状況については、販売部門等を中心に常日頃から情報収集の体制を築いておりますが、環境の変化等によって予測していない不良債権や貸倒れが発生するリスクは常に存在しております。景気後退や競争激化の影響を受け、国内外を問わず取引先の債務不履行等が生じた場合に、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響をおよぼす可能性があります。

 

(8) 知的財産権の侵害

当社グループが保有する技術については、特許権等の知的財産権として取得することにより技術の保全を図っておりますが、他社から当社グループの知的財産権が侵害される可能性があり、当社グループの事業活動に影響をおよぼす可能性があります。

 

 

(9) 環境問題

当社グループは、「環境方針」を制定し、環境問題への取り組みを行っているとともに、省エネルギー製品の開発等、環境負荷の低減に努めております。また、当社グループは、環境マネジメントシステムの国際規格である「ISO14001」の認証を取得するとともに、国内外の法令を遵守することはもちろんのこと、欧州のELV 指令やRoHS指令に代表される様々な規制にも対応しております。しかしながら、予期せぬ事情により将来において環境問題が発生した場合、対策費用が発生し、当社グループの経営成績に悪影響をおよぼす可能性があります。

 

(10) 情報漏洩

当社グループでは、事業遂行に関連し多くの重要情報や個人情報を入手することがあります。これらの情報の外部への流出防止・目的以外への流用等が起こらないよう情報セキュリティ基本方針・個人情報保護方針を定め、周知徹底および運用を図っておりますが、予期せぬ事態により流出した場合は、社会的信用の低下やその対応のために多額の費用負担等のリスクが存在しております。

 

(11) 大規模災害等の発生

当社グループの生産拠点および当社グループ取引先の事業拠点において、地震、洪水、火災、雪害等の大規模自然災害やその他の災害が発生した場合、生産設備や製品、仕掛品等の破損により、生産機能が低下または停止し、業績に影響をおよぼす可能性があります。また、テロ攻撃または政治情勢の変化に伴う社会的混乱により物的・人的被害を受けた場合、当社グループの生産・販売活動に悪影響がおよぶ可能性があります。

特に、当社グループの主な生産拠点は、岐阜県内に集中しているため、万が一、当該地域で大規模な震災、水害またはその他の災害等が発生した場合、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響をおよぼす可能性があります。

 

以上のような様々なリスクが存在しておりますが、ここに記載したリスクが当社グループの全てのリスクではありません。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、「社会に貢献する技術開発型企業」を経営理念として掲げ、軸受等の重要な機械要素の製造・販売を通じて広く社会に貢献し、社会の信頼を得ながら発展する国際企業を目指しております。また、ユーザーニーズに即した高付加価値製品の開発を使命として、当社のブランドである『IKO』が意味するところの、常に当社の製品が、革新的で(Innovation)、高度な技術に立脚し(Know-how)、そして創造性に富む(Originality)製品であるよう、全社を挙げて取り組んでおります。

現在、研究開発は、技術センター、製品開発推進部および生産技術部が中心となって、製品開発、素材研究等を推進しております。そして、これらの部門および各工場と、ユーザーニーズを素早く捉える営業技術部門との相互連携により、永年培った軸受製造技術と精密加工技術をベースに、新製品の開発はもとより、地球環境に配慮し、環境負荷を低減する製品開発にも取り組んでおります。

当連結会計年度における研究開発費は、軸受等の新製品開発や素材研究、製造技術研究等を中心に683百万円でありました。

なお、当社グループは、軸受等ならびに諸機械部品の製造・販売事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 連結の範囲について

当社グループの連結財務諸表は、当社および連結子会社5社(国内販売子会社1社、海外販売子会社3社、海外製造子会社1社)より構成され、非連結子会社4社については、小規模で、連結財務諸表上、重要な影響をおよぼしていないため、連結の範囲から除いております。

なお、当社および連結子会社の連結売上高に占める割合は、当社および国内連結子会社が約75%、海外連結子会社が約25%であります。

 

(2) 重要な会計処理基準および見積り

当社グループの連結財務諸表は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4 会計処理基準に関する事項」に記載のごとく、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成しております。その他、税効果計算上の繰延税金資産の回収可能性については、将来の課税所得を合理的に見積り計上しております。

 

(3) 当連結会計年度の経営成績の分析

売上高は、前連結会計年度に比べ15.4%減の35,962百万円となりました。部門別売上高は、軸受等が前連結会計年度に比べ15.4%減の31,577百万円となり、諸機械部品は4,385百万円(前期比15.3%減)となりました。また、国内・海外に分けてみますと、国内売上高は前連結会計年度26,349百万円に対して15.3%減の22,305百万円となりました。海外売上高は、前連結会計年度16,155百万円に対して15.5%減の13,656百万円となりました。なお、海外売上高比率は前連結会計年度と同率の38.0%となりました。

売上原価は、原価低減に努めましたが、減収と減産に伴う操業度の悪化等により26,255百万円となり、売上高に対する売上原価の比率は、前連結会計年度より1.0ポイント増加して73.0%となりました。

 

販売費及び一般管理費は、経費抑制に努めた結果、前連結会計年度より324百万円減少し8,521百万円となりました。なお、売上原価ならびに販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費は683百万円と、前連結会計年度に比べ135百万円減少しておりますが、当社グループの業容拡大に必要不可欠である新製品開発等を中心に活動を行っております。その結果、営業利益は1,185百万円(前期比61.2%減)、営業利益率は3.3%(前期比3.9ポイント減)となりました。

営業外損益は、為替の影響等により、営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は280百万円(前期は△195百万円)となり、経常利益は1,465百万円(前期比48.7%減)となりました。

特別損益は、当社が保有する固定資産のうち、遊休機械装置等について減損処理を行ったことなどにより1,245百万円の特別損失を計上し、税金等調整前当期純利益は219百万円(前期比92.5%減)となりました。

法人税等および法人税等調整額は、あわせて344百万円を計上しました。税金等調整前当期純利益から法人税等および法人税等調整額を差し引くと124百万円の当期純損失(前期は当期純利益2,827百万円)となり前連結会計年度より2,951百万円減益となりました。その結果、1株当たり当期純損失は1円69銭(前期は1株当たり当期純利益38円50銭)、自己資本当期純利益率(ROE)は前連結会計年度に比べ5.6ポイント減少し△0.2%となりました。

なお、1株当たり当期純利益または当期純損失(△)の算定に用いられた「普通株式の期中平均株式数」の算出に当たり、「従業員持株ESOP信託」が所有する当社株式数は、自己保有株式ではないため、自己株式数に含めておりません。

 

(4) 当連結会計年度の財政状態の分析

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ8,647百万円減少し84,343百万円となりました。これは主に、現金及び預金4,649百万円、受取手形及び売掛金767百万円、製品、仕掛品等のたな卸資産1,242百万円、有形固定資産1,813百万円の減少等によるものであります。

負債合計は、前連結会計年度末に比べ8,464百万円減少し31,176百万円となりました。これは主に、社債1,000百万円等の増加と、支払手形及び買掛金4,903百万円、未払法人税等1,164百万円、長期借入金1,147百万円等の減少によるものであります。

純資産合計は、前連結会計年度末に比べ182百万円減少し53,167百万円となりました。これは主に、その他の包括利益累計額1,118百万円の増加と、利益剰余金970百万円の減少等によるものであります。この結果、自己資本比率は63.0%、1株当たり純資産額は728円46銭となりました。

なお、1株当たり純資産額の算定に用いられた「期末の普通株式の数」の算出に当たり、「従業員持株ESOP信託」が所有する当社株式数は、自己保有株式ではないため、自己株式数に含めておりません。

 

キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。