第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における経済情勢は、アジア地域で堅調な経済成長が持続したほか、米国経済も回復を維持しました。欧州経済は国により格差はあるものの、総じて回復傾向にありました。一方、わが国の経済は、期中では円高の影響等があったものの、海外経済の成長等に支えられた輸出環境の改善や政府の景気対策の効果等により、概ね回復軌道を維持しながら推移しました。

このような情勢のもとで、当社グループといたしましては、早期かつ確実に売上高を回復させるとともに、収益構造の改善と強固な事業基盤の構築を図るための諸施策を推進しました。

販売面につきましては、販売政策の柱となる「ユーザーに密着した提案型営業活動」の積極展開により、既存顧客との取引深耕や新規市場開拓等に注力しました。国内においては、平成22年7月1日付けで、販売子会社であります日本トムソン販売株式会社を吸収合併し、意思決定の迅速化とソリューション提供力の強化により市販市場への対応力の向上を図りました。また、海外においては、販売代理店網の強化等に加え、中国の販売子会社である艾克欧東晟商貿(上海)有限公司において、新たに北京、広州および武漢に販売拠点を開設し、中国市場の需要開拓と販売拡大を加速させるための基盤強化を進めました。

製品開発面につきましては、性能の優位性から需要が拡大しているローラタイプ直動案内機器の中でも、環境負荷低減製品である「メンテナンスフリーシリーズ」の品揃えを強化しましたほか、軽量・コンパクト化を実現した高強度アルミニウム合金製精密位置決めテーブルを開発するなど、メカトロ製品の拡充にも注力しました。

生産面につきましては、エレクトロニクス関連機器向けや海外市場における急速な受注の回復に対し、供給能力の向上に努めました。また、生産体制強化の一環として、平成22年7月1日付けで、生産子会社であります株式会社笠神製作所と株式会社武芸川製作所を吸収合併し、効率的な生産体制の構築を図りました。

地域別に市況をみますと、国内市場は、海外経済に支えられた輸出環境の回復等により、半導体製造装置や電子部品実装機等のエレクトロニクス関連機器向け、工作機械産業向け等の需要が旺盛でありました。アジア地域は、各国のインフラ投資向けや生産設備関連需要が好調を持続しました。北米・欧州地域は、エレクトロニクス関連機器、精密機械、医療機器向け等を中心に回復傾向にありました。

これらの結果、当連結会計年度の売上高は、円高の進行によるマイナス影響等は受けましたが、前期に比べ72.8%増の43,849百万円となりました。収益面につきましては、増収・増産効果のほか、原価低減や経費抑制に努めました結果、営業利益は4,362百万円(前期は営業損失4,667百万円)となり、経常利益は4,112百万円(前期は経常損失4,739百万円)、当期純利益は3,054百万円(前期は当期純損失6,061百万円)となりました。

 

また、当連結会計年度における軸受等の生産高(平均販売価格による)は37,957百万円(前期比109.9%増)となり、軸受等ならびに諸機械部品の受注高は47,304百万円(前期比68.6%増)となりました。

セグメントについて、当社グループは、軸受等ならびに諸機械部品の製造・販売事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。なお、部門別売上高では、軸受等は38,237百万円(前期比72.9%増)、諸機械部品は5,612百万円(前期比72.7%増)となりました。

 

 
部門別売上高
 
 
 
 
 
 
区分
前連結会計年度
当連結会計年度
比較増減
 
(自 平成21年4月1日
(自 平成22年4月1日
 
  至 平成22年3月31日)
  至 平成23年3月31日)
 
金額(百万円)
比率(%)
金額(百万円)
比率(%)
金額(百万円)
伸び率(%)
 
軸 受 等
22,120
87.2
38,237
87.2
16,116
72.9
 
諸機械部品
3,249
12.8
5,612
12.8
2,362
72.7
 
売上高合計
25,369
100.0
43,849
100.0
18,479
72.8

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は21,837百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,758百万円増加しました。

 

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動により得られたキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ4,562百万円増加し6,773百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益4,006百万円、減価償却費2,457百万円、仕入債務の増加額4,686百万円等による収入項目と、売上債権の増加額3,632百万円、たな卸資産の増加額1,223百万円等の支出項目との差額によるものであります。

 

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動により支出されたキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ3,571百万円減少し137百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,405百万円、保険積立金の解約による収入1,261百万円等によるものであります。

 

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動により支出されたキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ5,299百万円増加し650百万円となりました。これは主に、長期借入れによる収入1,000百万円、長期借入金の返済による支出1,282百万円、配当金の支払額551百万円等によるものであります。

 

なお、事業の状況における記載金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

当社グループは、軸受等ならびに諸機械部品の製造・販売を単一の事業として運営しているため、生産、受注および販売の状況は、「1 業績等の概要 (1) 業績」に一括して記載しております。

 

3 【対処すべき課題】

(1) 当社グループの対処すべき課題

今後の見通しにつきましては、中国をはじめとした新興国の経済成長や米国経済の回復が見込まれ、欧州経済も総じて回復基調にあるなど、世界経済は概ね堅調な成長が期待されます。一方、日本経済は東日本大震災の影響から、年度前半は下振れ懸念を抱えた状態が続くものの、下半期以降は良好な海外景気に復興需要も加わるとみられることから、回復に向けた動きが強まるものと期待されます。

また、中長期的な見通しにつきましては、当社グループの事業分野は、機械産業の世界的なエレクトロニクス化の流れ等により、半導体製造装置産業をはじめとした幅広い業種において需要は着実に拡大するものと見ており、さらに、地球温暖化防止という世界的な潮流を背景に、機械装置の小型化・省力化ニーズに応える当社製品は、成長性のある事業分野であると考えております。

事業の発展および今後の見通しを踏まえまして、当社グループといたしましては、次なる成長ステージへ着実に進展させるために、以下のような諸施策を推進してまいります。

 

(ア) 販売活動につきましては、販売政策である『ユーザーに密着した提案型営業活動』の推進を通じて、IKOブランドを国内外市場へ一層浸透させることに注力し、さらなる需要の拡大を図ってまいります。

① 国内市場に対する施策

当社グループは、新規開発機種等への採用拡大に注力するとともに、海外部門と連携を取りながらユーザーの海外生産拠点へのサポートも充実させてまいります。新規分野等につきましては、提案型営業活動の要となる「ユーザーを直接訪問して行うミニ展示会・技術セミナー」を積極的に開催し、ユーザー開拓や用途開発等による需要創出に努めてまいります。

② 海外市場に対する施策

当社グループがIKOブランド製品の市場浸透力を高め、事業の発展を促進するためには、海外市場に対する販売強化は不可欠であります。特に、高い成長が続く中国では、連結子会社の艾克欧東晟商貿(上海)有限公司に新設した販売拠点の本格的な販売活動に加え、さらに、中国東北部や内陸部等への拠点新設により、積極的に市場を開拓し、グループ全体の業容拡大につなげてまいります。

 

 

(イ) 製品開発につきましては、新製品開発能力の向上は、当社グループが製品を通じて社会に貢献することを可能とし、当社グループの企業価値を高める上で必要不可欠な要素であると認識しております。当社グループは、引き続きユーザーニーズに応えた高付加価値製品の開発に注力してまいります。特に、地球環境の保全につながるメンテナンスフリー製品や性能に優れたローラタイプ直動案内機器のさらなるバリエーションの拡充や高機能化を図ってまいります。なお、当連結会計年度は11品目の新製品を市場に投入しました。

 

(ウ) 生産活動につきましては、長期的な視野に立って生産体制の充実を図り、高い収益性を確保できる生産活動を推進するとともに、需要の変化に迅速に対応した製品供給を実現し、グループ全体の市場競争力を向上させてまいります。具体的には、需要が大きく伸びている直動案内機器の市場対応力を強化するために、本年4月より稼働を開始しました土岐工場をはじめ、供給能力の強化に向けて着実に体制を整備いたします。また、海外生産子会社であるIKO THOMPSON VIETNAM CO.,LTD.につきましては、国際競争力を高めるための重要な生産拠点と位置付け、直動案内機器の組立工程のみならず、研削工程から完成品出荷まで行う戦略的生産拠点へと発展させてまいります。

 

(エ) 社会の信頼を得ながら、当社グループが引き続き発展するためには、法令遵守や社会貢献についての取り組みも重要な課題のひとつとして捉えております。環境面では、国際規格「ISO14001」に基づく保全活動の継続のほか、当社グループの環境保全への取り組みを象徴する「オイル・ミニマム(Oil Minimum)」をキーワードとした積極的な環境負荷低減製品の開発を推進しております。また、社会から信頼される体制整備のため、内部統制システムの整備・運用等を、引き続き推進してまいります。

 

(2) 株式会社の支配に関する基本方針

① 基本方針の内容の概要

当社は、当社の企業価値が、「社会に貢献する技術開発型企業」という企業理念に基づいて、永年にわたり蓄積してきた営業・技術・生産のノウハウ等を駆使した機動性のある企業活動に邁進し、国内外の社会の発展に貢献することにより、株主の皆様共同の利益を向上させていくことにその淵源を有することに鑑み、特定の者またはグループによる当社の総議決権の20%以上に相当する議決権を有する株式の取得により、このような当社の企業価値または株主の皆様共同の利益が毀損されるおそれが存する場合には、かかる特定の者またはグループは当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であるとして、法令および定款によって許容される限度において、当社の企業価値または株主の皆様共同の利益の確保・向上のための相当な措置を講じることを、その基本方針といたします。

 

② 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みの概要

当社は、平成23年5月16日開催の取締役会において、基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みの一つとして、平成21年6月26日開催の当社第60回定時株主総会において株主の皆様のご承認をいただいたうえで継続していた当社株式の大規模買付行為に関する対応方針につき、所要の変更を行ったうえで(以下変更後の対応方針を「本プラン」といいます)、引き続き継続することを決議し、平成23年6月29日開催の当社第62回定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます)において株主の皆様のご承認をいただきました。また、当社は本プランの継続に伴い、独立委員会を引き続き設置しており、独立委員会委員として、伊集院功、齊藤聡、佐藤順哉、武井洋一の4氏を選任いたしました。

本プランの概要は、以下に記載のとおりですが、本プランの詳細につきましては、当社ホームページに掲載の平成23年5月16日付プレスリリース「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)の一部変更および継続に関するお知らせ」をご覧下さい。
(参考URL: http://www.ikont.co.jp/)

 1) 本プランの目的

本プランは、大規模買付者に対して事前に大規模買付行為に関する必要な情報の提供および考慮・交渉のための期間の確保を求めることによって、当該大規模買付行為に応じるべきか否かを株主の皆様が適切に判断されること、取締役会が、当該大規模買付行為に対する賛否の意見または代替案を株主の皆様に対して提示すること、あるいは、株主の皆様のために大規模買付者と交渉を行うことなどを可能とし、もって当社の企業価値ないし株主の皆様共同の利益の確保・向上を実現することを目的としています。

 2) 本プランに基づく対抗措置の発動に係る手続

(a) 対象となる大規模買付行為

次のアからウまでのいずれかに該当する行為またはその可能性のある行為がなされ、またはなされようとする場合に、本プランに基づく対抗措置が発動される場合があります。

ア 当社が発行者である株券等に関する当社の特定の株主の株券等保有割合が20%以上となる当該株券等の買付けその他の取得

イ 当社が発行者である株券等に関する当社の特定の株主の株券等所有割合とその特別関係者の株券等所有割合との合計が20%以上となる当該株券等の買付けその他の取得

ウ 上記アまたはイに規定される各行為が行われた否かにかかわらず、当社の特定の株主が、当社の他の株主(複数である場合を含みます。以下本ウにおいて同じとします)との間で、当該他の株主が当該特定の株主の共同保有者に該当するに至るような合意その他の行為、または当該特定の株主と当該他の株主との間にその一方が他方を実質的に支配し、もしくはそれらの者が共同ないし協調して行動する関係を樹立する行為(ただし、当社が発行者である株券等につき当該特定の株主と当該他の株主の株券等保有割合の合計が20%以上となるような場合に限ります)

 

(b) 大規模買付者に対する情報提供要求

大規模買付者には、大規模買付行為の開始または実行に先立ち、意向表明書および大規模買付情報を提出・提供していただきます。

(c) 取締役会評価期間の設定等

取締役会は、対価を現金(円貨)のみとする公開買付けによる当社の全ての株券等の買付けが行われる場合には、最長60日間、それ以外の場合には、最長90日間の期間を、取締役会評価期間として設定し、当社の企業価値および株主の皆様共同の利益の確保・向上の観点から、企図されている大規模買付行為に関して評価、検討、意見形成、代替案立案および大規模買付者との交渉を行うものとします。

(d) 独立委員会の勧告および取締役会による決議

独立委員会は、大規模買付者が大規模買付ルールにつきその重要な点において違反した場合で、取締役会がその是正を書面により当該大規模買付者に対して要求した後5営業日以内に当該違反が是正されない場合には、原則として、取締役会に対して、大規模買付行為に対する対抗措置の発動を勧告します。

他方、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合、独立委員会は、原則として、取締役会に対して、大規模買付行為に対する対抗措置の不発動を勧告しますが、大規模買付ルールが遵守されている場合であっても、当該大規模買付者がいわゆるグリーンメイラーである場合等一定の事情を有していると認められる者である場合には、取締役会に対して、対抗措置の発動を勧告します。

取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重したうえで、対抗措置の発動または不発動その他必要な決議を行うものとします。なお、取締役会は、一定の場合には、対抗措置を発動するか否かを株主の皆様に問うべく株主総会を招集することができるものとします。

(e) 対抗措置の具体的内容

当社が本プランに基づき発動する大規模買付行為に対する対抗措置は、新株予約権の無償割当てによるものを想定しておりますが、会社法その他の法令および当社の定款が取締役会の権限として認めるその他の措置を発動することが相当と判断される場合には当該措置が用いられることもあり得るものとします。

 

 3) 本プランの特徴

(a) 基本方針の制定

本プランは、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を制定したうえで、継続されたものです。

  (b) 独立委員会の設置

当社は、本プランの必要性および相当性を確保するために独立委員会を設置し、取締役会が対抗措置を発動する場合には、その判断の公正を担保し、かつ、取締役会の恣意的な判断を排除するために、独立委員会の勧告を最大限尊重するものとしています。

  (c) 株主総会における本プランの承認

本プランにつきましては、本定時株主総会において、株主の皆様のご承認をいただきました。

  (d) 適時開示

取締役会は、本プラン上必要な事項について、適用ある法令等および金融商品取引所規則に従って、適時適切な開示を行います。

  (e) 本プランの有効期間

本プランの有効期間は、本定時株主総会における本プランの承認時から本定時株主総会終了後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会後最初に開催される取締役会の終結時までとします。ただし、かかる有効期間の満了前であっても、株主総会において本プランを廃止する旨の議案が承認された場合、または取締役会において本プランを廃止する旨の決議が行われた場合、本プランはその時点で廃止されるものとします。

 4) 株主の皆様への影響

  (a) 本プランの効力発生時に株主の皆様へ与える影響

本プランの効力発生時には、新株予約権の発行自体は行われません。したがって、本プランが本プラン効力発生時に株主の皆様の権利および経済的利益に直接具体的な影響を与えることはありません。

  (b) 新株予約権の無償割当て時に株主の皆様へ与える影響

対抗措置として新株予約権の無償割当てが行われた場合においても、保有する当社株式1株当たりの価値の希釈化は生じるものの、保有する当社株式全体の価値の希釈化は生じないことから、株主の皆様の法的権利および経済的利益に対して直接的具体的な影響を与えることは想定しておりません。ただし、例外事由該当者については、対抗措置が発動された場合、結果的に、その法的権利または経済的利益に何らかの影響が生じる可能性があります。

 

③ 上記の取り組みに対する取締役会の判断およびその理由

当社は、前記②1)記載のとおり、本プランは企業価値ないし株主の皆様共同の利益の確保・向上をその目的としており、基本方針に沿うものと考えます。特に本プランは、1)株主総会において本プランを廃止する旨の議案が承認された場合には本プランはその時点で廃止されるものとしており、その存続が株主の皆様の意思にかからしめられている点において株主の皆様のご意思を重視していること、2)大規模買付行為に関する評価、検討、意見形成、代替案立案および大規模買付者との交渉を行うにあたり、取締役会が独立した第三者的立場にある専門家の意見を取得できること、3)独立性の高い独立委員会の設置を伴うものであり、対抗措置の発動に際しては必ず独立委員会の勧告を経る仕組みとなっているうえ、独立委員会は更に独立した第三者的立場にある専門家の意見を取得できること、4)対抗措置の発動、不発動または中止に関する判断の際に拠るべき基準が設けられていることなどから、当社は、本プランは当社の企業価値ないし株主の皆様共同の利益を損なうものではなく、当社の取締役の地位の維持を目的とするものではないと考えております。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの事業展開上、経営成績および財政状態に影響をおよぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。当社グループは、これらリスク発生の可能性を認識した上で、発生の予防および発生した場合の対応に努める方針であります。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成23年6月29日)現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 市場環境

当社グループの売上高の内訳は、軸受等が全体の85%程度、諸機械部品は15%程度でありますが、当面、この傾向に大きな変化はないものと考えております。また、新たな事業への進出は、現在のところ考えておりません。

当社グループの製品は、国内外のエレクトロニクス関連機器、工作機械、自動車・自動二輪車をはじめ、ロボット、建設機械や一般産業機械等の幅広い分野で使用されておりますが、その中でも特に半導体製造装置や電子部品実装機等のエレクトロニクス関連機器向け、工作機械向け等、特定産業分野への売上比率が相対的に高くなっております。他業種向けの販売拡大に努め、売上比率の高い分野の需要変動による影響の緩和を図っておりますが、特定産業分野における急激な需要の縮小は、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響をおよぼす可能性があります。また、日本、北米、欧州、アジアを含む当社グループの主要市場における景気後退およびそれに伴う需要の縮小は、当社グループの経営成績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。

 

(2) 為替変動

当社グループは、北米、欧州、アジアをはじめとした世界市場へ製品の販売を行っております。そのため、為替予約等により為替相場の変動リスクをヘッジしておりますが、そのリスクを全て排除することは不可能であります。また、米国、オランダ等の海外連結子会社における売上、費用、資産を含む外貨建て項目は、連結財務諸表作成のために円貨換算しており、為替相場の変動の影響があります。

 

(3) 海外における事業活動

当社グループは、海外市場における事業比率が高まってきているため、海外諸国の法律、規制等の変更や、政治、経済等の混乱等により、事業活動に影響をおよぼす可能性があります。

 

 

(4) 製品開発

当社グループが生産・販売する製品は、販売戦略の根幹である「ユーザーに密着した提案型営業活動」により収集されたユーザーニーズを反映させた製品であり、競合他社製品との差別化を図った製品を多数開発し、市場に投入しております。しかしながら、品質、性能の優位性よりも廉価な類似製品に需要が傾斜した場合、当社製品の付加価値に見合った販売価格の設定が困難になる恐れがあります。

 

(5) 生産体制等

当社グループは、常に変化する国内外市場の需要と短納期化の要請に応えるため、資材、生産設備等の先行投資が不可欠であると考えております。従いまして、ユーザーからの需要の変化に柔軟に対応できる生産体制の維持・改善に努めておりますが、予想を超える短期間での需要の変化は、供給の遅延やコストの増加を招く恐れがあります。また、当社グループは、製品の製造に使用する原材料や部品を外部より調達しております。これら原材料等は、市況の変化による価格の高騰や品不足、供給元の生産能力不足や火災、倒産、自然災害等の理由により原材料等の調達に支障をきたす可能性があります。その場合、当社グループの経営成績は、製品の製造原価の上昇や生産停止等により悪影響を受けることがあります。

 

(6) 製品品質の維持

IKOブランド製品の品質管理は、品質管理システムをもとに万全を期して行っております。しかしながら、原材料・製造工程・品質管理等の原因により出荷不能な製品や顧客からのクレームが発生した場合には、賠償責任等により当社グループの経営成績に影響をおよぼす可能性があります。

 

(7) 取引先の債務不履行

取引先の信用状況については、販売部門等を中心に常日頃から情報収集の体制を築いておりますが、環境の変化等によって予測していない不良債権や貸倒れが発生するリスクは常に存在しております。景気後退や競争激化の影響を受け、国内外を問わず取引先の債務不履行等が生じた場合に、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響をおよぼす可能性があります。

 

(8) 知的財産権の侵害

当社グループが保有する技術については、特許権等の知的財産権として取得することにより技術の保全を図っておりますが、他社から当社グループの知的財産権が侵害される可能性があり、当社グループの事業活動に影響をおよぼす可能性があります。

 

 

(9) 環境問題

当社グループは、「環境方針」を制定し、環境問題への取組みを行っているとともに、省エネルギー製品の開発等、環境負荷の低減に努めております。また、当社グループは、環境マネジメントシステムの国際規格である「ISO14001」の認証を取得するとともに、国内外の法令を遵守することはもちろんのこと、欧州のELV指令やRoHS指令に代表される様々な規制にも対応しております。しかしながら、予期せぬ事情により将来において環境問題が発生した場合、対策費用が発生し、当社グループの経営成績に悪影響をおよぼす可能性があります。

 

(10) 情報漏洩

当社グループでは、事業遂行に関連し多くの重要情報や個人情報を入手することがあります。これらの情報の外部への流出防止・目的以外への流用等が起こらないよう情報セキュリティ基本方針・個人情報保護方針を定め、周知徹底および運用を図っておりますが、予期せぬ事態により流出した場合は、社会的信用の低下やその対応のために多額の費用負担等のリスクが存在しております。

 

(11) 大規模災害等の発生

当社グループの生産拠点および当社グループ取引先の事業拠点において、地震、洪水、火災、雪害等の大規模自然災害やその他の災害が発生した場合、生産設備や製品、仕掛品等の破損により、生産機能が低下または停止し、業績に影響をおよぼす可能性があります。また、テロ攻撃または政治情勢の変化に伴う社会的混乱により物的・人的被害を受けた場合、当社グループの生産・販売活動に悪影響がおよぶ可能性があります。

特に、当社グループの主な生産拠点は、岐阜県内に集中しているため、万が一、当該地域で大規模な震災、水害またはその他の災害等が発生した場合、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響をおよぼす可能性があります。

また、平成23年3月11日に発生した東日本大震災により、本社、生産・販売拠点には、大きな被害はありませんでしたが、今後の状況如何では、生産・販売等において当社グループ事業に影響をおよぼす可能性があります。

 

以上のような様々なリスクが存在しておりますが、ここに記載したリスクが当社グループの全てのリスクではありません。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、「社会に貢献する技術開発型企業」を経営理念として掲げ、軸受等の製造・販売を通じて内外社会に貢献し、社会の信頼を得ながら発展する国際企業を目指しております。規模の大きさのみを追うのではなく、質の高い企業であることを目標に、ユーザーニーズに即した高付加価値製品の開発を使命として、当社のブランドである『IKO』が意味するところの、常に当社の製品が、革新的で(Innovation)、高度な技術に立脚し(Know-how)、そして創造性に富む(Originality)製品であるよう、全社を挙げて取り組んでおります。

現在、研究開発は、技術センター、開発センター、製品開発推進部および生技センターが中心となって、製品開発、素材研究等を推進しております。そして、これらの部門および各工場と、ユーザーニーズを素早く捉える営業技術部門との相互連携により、永年培った軸受製造技術と精密加工技術をベースに、新製品の開発はもとより、地球環境に配慮し、環境負荷を低減する製品開発にも取り組んでおります。

当連結会計年度における研究開発費は、軸受等の新製品開発や素材研究、製造技術研究等を中心に841百万円でありました。

なお、当社グループは、軸受等ならびに諸機械部品の製造・販売事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 連結の範囲について

平成22年7月1日付で当社の連結子会社であった日本トムソン販売株式会社、株式会社笠神製作所、株式会社武芸川製作所は当社を存続会社とする吸収合併により消滅したため、当連結会計年度より連結の範囲から除外しております。これにより当社グループの連結財務諸表は、当社および連結子会社5社(国内販売子会社1社、海外販売子会社3社、海外製造子会社1社)より構成され、非連結子会社4社については、小規模で、連結財務諸表上、重要な影響をおよぼしていないため、連結の範囲から除いております。

なお、当社および連結子会社の連結売上高に占める割合は、当社および国内連結子会社が約76%、海外連結子会社が約24%であります。

 

(2) 重要な会計処理基準および見積り

当社グループの連結財務諸表は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4 会計処理基準に関する事項」に記載のごとく、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成しております。その他、税効果計算上の繰延税金資産の回収可能性については、将来の課税所得を合理的に見積り計上しております。

 

(3) 当連結会計年度の経営成績の分析

当連結会計年度における経済情勢は、アジア地域で堅調な経済成長が持続したほか、米国経済も回復を維持しました。欧州経済は国により格差はあるものの、総じて回復傾向にありました。一方、わが国の経済は、期中では円高の影響等があったものの、海外経済の成長等に支えられた輸出環境の改善や政府の景気対策の効果等により、概ね回復軌道を維持しながら推移しました。

このような情勢のもとで、当社グループといたしましては、早期かつ確実に売上高を回復させるとともに、収益構造の改善と強固な事業基盤の構築を図るための諸施策を推進しました。当社グループの売上高は、前連結会計年度に比べ72.8%増の43,849百万円と大幅な増収となりました。

部門別売上高は、軸受等が前連結会計年度に比べ72.9%増の38,237百万円となり、諸機械部品の5,612百万円(前期比72.7%増)とあわせて43,849百万円となりました。また、国内・海外に分けてみますと、国内市場は、海外経済に支えられた輸出環境の回復等により、半導体製造装置や電子部品実装機等のエレクトロニクス関連機器向け、工作機械産業向け等の需要が旺盛でありましたことから、国内売上高は前連結会計年度15,334百万円に対して78.6%増の27,384百万円となりました。海外売上高については、アジア地域は、各国のインフラ投資向けや生産設備関連需要が好調を持続し、北米・欧州地域は、エレクトロニクス関連機器、精密機械、医療機器向け等を中心に回復傾向にありました。これらの結果、当連結会計年度の海外売上高は、円高の進行によるマイナス影響等は受けましたが、前連結会計年度10,035百万円に対して64.1%増の16,465百万円となりました。なお、海外売上高比率は、前連結会計年度の39.6%から37.5%と2.1ポイント減少しました。

このように世界経済は、中国をはじめとした新興国は引き続き高い経済成長を維持し、欧米についても回復基調が見込まれるなど、概ね堅調な成長が期待されます。一方、日本経済は、東日本大震災の影響から、年度前半は下振れ懸念があるものの、下半期以降は良好な海外景気に復興需要も加わるとみられることから、回復に向けた動きが強まるものと期待されます。

このような情勢のなか、当社グループとしては販売の機会損失を回避するため生産体制の強化をはかり、中国に販売拠点を増設するなど販売体制の整備・強化を推し進め、収益力を高めていきます。

売上原価は、増収と増産に伴う操業度の改善等に加え、原価低減に努めた結果、30,363百万円となり前連結会計年度より15.4%改善して69.3%となりました。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度より574百万円増加し9,123百万円となりましたが、経費抑制に努めた結果、売上高に占める割合は、前連結会計年度33.7%に対して20.8%と12.9ポイント改善しました。なお、売上原価ならびに販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費は841百万円と、前連結会計年度に比べ35百万円減少しましたが、当社グループの業容拡大に必要不可欠である新製品開発等を中心に活動を行いました。

以上の結果、営業利益は4,362百万円(前期は営業損失4,667百万円)と、前連結会計年度に比べ9,029百万円増益となりました。

 

営業外損益では、資金調達による支払利息の増加や為替差損等の影響により、営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は△249百万円となり、経常利益は4,112百万円(前期は経常損失4,739百万円)となりました。

さらに、特別損益に投資有価証券評価損103百万円等を計上し、税金等調整前当期純利益は4,006百万円(前期は税金等調整前当期純損失7,430百万円)となりました。

法人税等および法人税等調整額は、あわせて951百万円を計上しました。税金等調整前当期純利益から法人税等および法人税等調整額を差し引いた当期純利益は3,054百万円(前期は当期純損失6,061百万円)と前連結会計年度より9,115百万円増益となりました。その結果、1株当たり当期純利益は41円59銭となり、当社グループの主要な経営指標の一つである自己資本当期純利益率(ROE)は前連結会計年度に比べ17.4ポイント上昇し6.0%となりました。

 

(4) 当連結会計年度の財政状態の分析

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ7,990百万円増加し86,252百万円となりました。これは主に、現金及び預金5,714百万円、受取手形及び売掛金3,508百万円、製品、仕掛品等のたな卸資産603百万円等の増加と、投資その他の資産1,460百万円等の減少によるものであります。

負債合計は、前連結会計年度末に比べ6,420百万円増加し34,281百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金4,495百万円等の増加によるものであります。

純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,569百万円増加し51,970百万円となりました。これは主に、利益剰余金2,466百万円等の増加と、その他の包括利益累計額891百万円等の減少によるものであります。この結果、自己資本比率は60.3%、1株当たり純資産額は707円62銭となりました。

 

キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。