第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国の経済は、上半期は原油・原材料価格の高騰等により減速傾向を強めながらも比較的堅調に推移しました。しかしながら秋口以降、米国に端を発した金融危機が実体経済に波及し、一転して、世界規模で急激かつ大幅な景気後退に見舞われました。当社グループを取り巻く市場環境は、輸出の大幅な減少等に加え、製造業を中心とした大規模な生産調整や設備投資の凍結・抑制等から、下半期はかつて経験のない極めて厳しいものとなりました。

このような情勢のもとで、当社グループといたしましては、販売政策の柱となる「ユーザーに密着した提案型営業活動」を積極的に展開し、ユーザーニーズの具現化やきめ細かなユーザーサポート等により、既存顧客における受注の確保と新規顧客の需要開拓等を積極的に推進しました。また、需要の喚起を促す製品開発面においては、ローラタイプ直動案内機器や環境負荷低減製品の「メンテナンスフリーシリーズ」等の独創的な製品群を中心に開発・市場投入し、新規需要の創出にも注力しました。生産面につきましては、下半期からの受注の大幅な減少に対して、生産体制の適正化を図るべく、生産調整の実施と製造コストの低減、設備投資の見直し等を図り、収益の悪化に歯止めをかけるべく努力してまいりました。

しかし、予想以上の景気悪化の影響は避けられず、主要顧客であるエレクトロニクス関連機器や工作機械等の生産調整による受注の減少をはじめ、機械産業全域に広がった設備投資の凍結・抑制等や世界的な輸出環境の悪化等に加え、円高の進行によるマイナス影響もあり、下半期の当社グループの売上高は国内外ともに大幅に減少しました。

その結果、当連結会計年度の売上高は41,281百万円(前年同期比20.8%減)となりました。収益面につきましては、原価低減や事務合理化、経費削減等を徹底して推し進めるとともに、受注に見合った生産調整の実施等により収益悪化の抑止に努めましたが、大幅な売上高の減少とそれに伴う操業度の低下等の影響により、経常利益は2,672百万円(前年同期比66.9%減)となり、当期純利益は、減損処理による投資有価証券評価損1,562百万円の特別損失の計上もあり445百万円(前年同期比87.5%減)となりました。

また、当連結会計年度における軸受等の生産高(平均販売価格による)は39,062百万円(前年同期比5.5%減)となり、軸受等ならびに諸機械部品の受注高は36,215百万円(前年同期比32.8%減)となりました。

 

①  事業の種類別セグメントについて、当社グループは、針状ころ軸受等および直動案内機器(以下、軸受等)ならびに諸機械部品の製造販売を主な単一の事業として運営しているため、事業の種類別セグメントおよび事業部門は一括して記載しております。なお、部門別では、軸受等の売上高は35,478百万円(前年同期比21.1%減)で、諸機械部品の売上高は、5,803百万円(前年同期比18.7%減)となりました。

 

 

 
部門別売上高
 
 
 
 
 
 
区分
前連結会計年度
当連結会計年度
比較増減
 
(自 平成19年4月1日
(自 平成20年4月1日
 
  至 平成20年3月31日)
  至 平成21年3月31日)
 
金額(百万円)
比率(%)
金額(百万円)
比率(%)
金額(百万円)
伸び率(%)
 
軸 受 等
44,964
86.3
35,478
85.9
△9,486
△21.1
 
諸機械部品
7,136
13.7
5,803
14.1
△1,332
△18.7
 
売上高合計
52,101
100.0
41,281
100.0
△10,819
△20.8

 

② 所在地別セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

日本

国内市場は、景気の悪化に伴い、下半期には製造業を中心に大規模な生産調整と急激かつ大幅な設備投資の凍結・抑制等が相次ぎ、かつてない売上の落ち込みとなりました。特に、当社の主要な顧客である半導体製造装置や電子部品実装機等のエレクトロニクス関連機器や工作機械等向けをはじめ、国内代理店向けも売上が大幅に減少しました。輸出についても、世界経済の急激な後退と為替変動によるマイナス影響を受け、下半期は大幅に売上が減少しました。その結果、売上高は31,373百万円(前年同期比23.7%減)となり、営業利益は売上原価や経費等の増加により2,350百万円(前年同期比69.8%減)となりました。

 

北米

北米地域は、医療機器や精密機械向けは底堅く推移したものの、エレクトロニクス関連機器向けの低迷が続いたことや、下半期には代理店向け等の売上が減少したことに加え、為替変動によるマイナス影響を受けたため、売上高は4,467百万円(前年同期比15.2%減)となり、営業利益は193百万円(前年同期比60.2%減)となりました。

 

欧州

欧州地域は、上半期は比較的堅調に推移していましたが、下半期は金融危機の影響が広まり、設備需要の減少からエレクトロニクス関連機器や工作機械向けのほか、代理店向け等の売上も減少したことに加え、為替変動によるマイナス影響を受けたため、売上高は5,440百万円(前年同期比4.9%減)となり、営業利益は141百万円(前年同期比69.5%減)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は12,559百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,445百万円減少しました。

 

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によって支出されたキャッシュ・フローは、前年同期と比べ6,798百万円増加し224百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,114百万円、減価償却費3,272百万円、投資有価証券評価損1,562百万円、売上債権の減少額6,144百万円等による収入と、たな卸資産の増加額5,590百万円、仕入債務の減少額3,069百万円、法人税等の支払額1,710百万円等の支出との差額によるものであります。

 

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動により使用されたキャッシュ・フローは、前年同期と比べ4,162百万円減少し4,085百万円となりました。これは主に、定期預金等の払戻による収入800百万円と、有形固定資産の取得による支出5,136百万円等によるものであります。

なお、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローをあわせたフリーキャッシュ・フローは、前年同期と比べ2,635百万円減少し4,310百万円のマイナスとなりました。

 

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動により得られたキャッシュ・フローは、前年同期と比べ5,550百万円増加し3,424百万円となりました。これは主に、長期借入れによる収入13,000百万円、転換社債の償還による支出7,586百万円、配当金の支払額1,174百万円等によるものであります。

 

なお、事業の状況における記載金額には、消費税等は含まれておりません。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

当社グループは、軸受等ならびに諸機械部品の製造・販売を単一の事業として運営しているため、生産、受注および販売の状況は、「1 業績等の概要 (1) 業績」に一括して記載しております。

 

3 【対処すべき課題】

(1) 当社グループの対処すべき課題

平成21年度は、当面厳しい経営環境が続くことが予想されます。このため、徹底した原価低減、経費の削減等を図るとともに、以下の諸施策を通じて、収益力の回復に努めてまいります。また、経済のグローバル化や世界規模で技術革新が進展する中、大きく変動する国内外の市場動向を的確に把握し、長期的な視野に立って着実に経営基盤の強化を図るとともに、環境対策面や性能面に優れたIKOブランド製品を通じて企業価値の向上を目指すための取り組みに注力してまいります。

 

(ア) 販売活動につきましては、当社グループの販売戦略の根幹をなす『ユーザーに密着した提案型営業活動』の積極的な展開により、新規市場の開拓や既存市場に対する当社製品の浸透を図ってまいります。そのために、国内外の市場の変化に適応した合理的、効率的な販売体制の構築を継続的に推進してまいります。

① 国内市場に対する施策

当社グループは、先端産業等の主要な需要産業のみならず市場規模にとらわれない緻密な販売活動を図り、当社グループの強みである多品種生産体制を生かしながら、提案型営業活動の要となる「ユーザーを直接訪問して行うミニ展示会・技術セミナー」を積極的に開催し、幅広い産業分野の需要を開拓することで、特定産業に傾斜しないバランスの取れた売上構成を形成してまいります。

② 海外市場に対する施策

当社グループがIKOブランド製品の市場浸透力を高め、事業の発展・成長を促進するためには、海外市場に対する販売強化は不可欠であります。そのために、米国、欧州、中国の海外現地法人を中心に販売網を整備・拡大して、各地域における需要開拓を図るとともに、新興国等に対する市場開拓も積極的に推進してまいります。今後もグローバルな視点で販売網を充実させ、市場ニーズの掘り起こしと販売拡大を進展させてまいります。

 

(イ) 製品開発につきましては、新製品開発能力の向上は、当社グループが製品を通じて社会への貢献を可能にするとともに、当社グループの企業価値を高める上で必要不可欠な要素であると認識しております。当社グループは、社内体制として確立している「ユーザーニーズを反映させた製品開発体制」により、顧客満足が得られる独創的な高付加価値製品を開発し、IKOブランド製品が有する多様な優位性を訴求していくことで、需要の拡大を促進してまいります。当連結会計年度は14品目の新製品を市場に投入しましたが、今後も永続的なテーマとして、市場ニーズに基づいた最適製品の開発に注力してまいります。

 

(ウ) 生産活動につきましては、需要の変化に柔軟に対応できるよう国内生産拠点を整備しつつ、競争が激しさを増す世界市場においても収益性の高い生産体制を構築してまいります。具体的には、需要の増減に適した生産シフトを製品ごとに検討し、国内生産拠点と海外生産子会社の密接な連携により国際競争力の強化を図ってまいります。今後とも、長期的な視野に立って生産体制の充実を図り、高い収益性を確保できる生産活動を推進するとともに、需要の変化に迅速に対応した製品供給を実現し、グループ全体の市場競争力を向上させてまいります。

 

(エ) 社会の信頼を得ながら、当社グループが引き続き発展するためには、法令遵守や社会貢献についての取り組みも重要な課題のひとつとしてとらえています。環境面では、国際規格「ISO14001」に基づく保全活動の継続のほか、当社グループの環境保全への取り組みを象徴する「オイル・ミニマム(Oil Minimum)」をキーワードとした積極的な環境負荷低減製品の開発を推進しております。また、社会から信頼される体制整備のため、内部統制システムの整備・運用等を、引き続き推進してまいります。

 

(2) 株式会社の支配に関する基本方針

① 基本方針の内容の概要

当社は、当社の企業価値が、「社会に貢献する技術開発型企業」という企業理念に基づいて、永年にわたり蓄積してきた営業・技術・生産のノウハウ等を駆使した機動性のある企業活動に邁進し、国内外の社会の発展に貢献することにより、株主の皆様をはじめとした多くのステークホルダーの皆様共同の利益を向上させていくことにその淵源を有することに鑑み、特定の者またはグループによる当社の総議決権の20%以上に相当する議決権を有する株式の取得により、このような当社の企業価値または株主の皆様共同の利益が毀損されるおそれが存する場合には、かかる特定の者またはグループは当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であるとして、法令および定款によって許容される限度において、当社の企業価値または株主の皆様共同の利益の確保・向上のための相当な措置を講じることを、その基本方針といたします。

② 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みの概要

当社は、平成21年5月18日開催の取締役会において、基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みの一つとして、平成19年5月14日に導入した当社株式の大規模買付行為に関する対応方針に所要の変更を行ったうえで(以下変更後の対応方針を「本プラン」といいます)、継続することを決議し、平成21年6月26日開催の当社第60回定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます)において株主の皆様のご承認をいただきました。また、当社は本プランの継続に伴い、独立委員会を引き続き設置しており、独立委員会委員として、伊集院功、齊藤聡、佐藤順哉、武井洋一の4氏を選任いたしました。

本プランの概要は、以下に記載のとおりですが、本プランの詳細につきましては、当社ホームページに掲載の「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)の一部変更および継続に関するお知らせ」をご覧下さい。 (参考URL: http://www.ikont.co.jp/)

 1) 本プランの目的

本プランは、大規模買付者に対して事前に大規模買付行為に関する必要な情報の提供および考慮・交渉のための期間の確保を求めることによって、当該大規模買付行為に応じるべきか否かを株主の皆様が適切に判断されること、取締役会が、当該大規模買付行為に対する賛否の意見または代替案を株主の皆様に対して提示すること、あるいは、株主の皆様のために大規模買付者と交渉を行うこと等を可能とし、もって当社の企業価値ないし株主の皆様共同の利益の確保・向上を実現することを目的としています。

 2) 本プランに基づく対抗措置の発動に係る手続

(a) 対象となる大規模買付行為

次のアからウのいずれかに該当する行為またはその可能性のある行為がなされ、またはなされようとする場合に、本プランに基づく対抗措置が発動される場合があります。

ア 当社が発行者である株券等に関する当社の特定の株主の株券等保有割合が20%以上となる当該株券等の買付けその他の取得

イ 当社が発行者である株券等に関する当社の特定の株主の株券等所有割合とその特別関係者の株券等所有割合との合計が20%以上となる当該株券等の買付けその他の取得

ウ 上記アまたはイに規定される各行為の実施の有無にかかわらず、当社の特定の株主が、当社の他の株主(複数である場合を含みます。以下本ウにおいて同じとします)との間で、当該他の株主が当該特定の株主の共同保有者に該当するに至るような合意その他の行為、または当該特定の株主と当該他の株主との間にその一方が他方を実質的に支配しもしくはそれらの者が共同ないし協調して行動する関係を樹立する行為(ただし、当社が発行者である株券等につき当該特定の株主と当該他の株主の株券等保有割合の合計が20%以上となるような場合に限ります)

(b) 大規模買付者に対する情報提供要求

大規模買付者には、大規模買付行為の開始または実行に先立ち、意向表明書および大規模買付情報を提出・提供していただきます。

(c) 取締役会評価期間の設定等

取締役会は、対価を現金(円貨)のみとする公開買付けによる当社の全ての株券等の買付けが行われる場合には、最長60日間、それ以外の場合には、最長90日間の期間を、取締役会評価期間として設定し、当社の企業価値および株主の皆様共同の利益の確保・向上の観点から企図されている大規模買付行為に関して評価、検討、意見形成、代替案立案および大規模買付者との交渉を行うものとします。

(d) 独立委員会の勧告および取締役会による決議

独立委員会は、大規模買付者が大規模買付ルールにつきその重要な点において違反した場合で、取締役会がその是正を書面により当該大規模買付者に対して要求した後5営業日以内に当該違反が是正されない場合には、原則として、取締役会に対して、大規模買付行為に対する対抗措置の発動を勧告します。

他方、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合、独立委員会は、原則として、取締役会に対して、大規模買付行為に対する対抗措置の不発動を勧告しますが、大規模買付ルールが遵守されている場合であっても、当該大規模買付者がいわゆるグリーンメイラーである場合等一定の事情を有していると認められる者である場合には、取締役会に対して、対抗措置の発動を勧告します。

取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重したうえで、対抗措置の発動または不発動その他必要な決議を行うものとします。なお、取締役会は、一定の場合には、対抗措置を発動するか否かを株主の皆様に問うべく株主総会を招集することができるものとします。

(e) 対抗措置の具体的内容

当社が本プランに基づき発動する大規模買付行為に対する対抗措置は、原則として、新株予約権の無償割当てによるものを想定しておりますが、会社法その他の法令および当社の定款が取締役会の権限として認めるその他の措置を発動することが相当と判断される場合には当該措置が用いられることもあり得るものとします。

 3) 本プランの特徴

(a) 基本方針の制定

本プランは、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を制定した上で、導入されたものです。

  (b) 独立委員会の設置

当社は、本プランの必要性および相当性を確保するために独立委員会を設置し、取締役会が対抗措置を発動する場合には、その判断の公正を担保し、かつ、取締役会の恣意的な判断を排除するために、独立委員会の勧告を最大限尊重するものとしています。

  (c) 株主総会における本プランの承認

本プランにつきましては、本定時株主総会において、株主の皆様のご承認をいただきました。

  (d) 適時開示

取締役会は、本プラン上必要な事項について、適用ある法令等および金融商品取引所規則に従って、適時適切な開示を行います。

  (e) 本プランの有効期間

本プランの有効期間は、本定時株主総会における本プランの承認時から本定時株主総会終了後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会後最初に開催される取締役会の終結時までとします。ただし、かかる有効期間の満了前であっても、株主総会において本プランを廃止する旨の議案が承認された場合、または取締役会において本プランを廃止する旨の決議が行われた場合、本プランはその時点で廃止されるものとします。

 4) 株主の皆様への影響

  (a) 本プランの効力発生時に株主の皆様へ与える影響

本プランの効力発生時には、新株予約権の発行自体は行われません。したがって、本プランが本プラン効力発生時に株主の皆様の権利および経済的利益に直接具体的な影響を与えることはありません。

  (b) 新株予約権の無償割当て時に株主の皆様へ与える影響

対抗措置として新株予約権の無償割当てが行われた場合においても、保有する当社株式一株当たりの価値の希釈化は生じるものの、保有する当社株式全体の価値の希釈化は生じないことから、株主の皆様の法的権利および経済的利益に対して直接的具体的な影響を与えることは想定しておりません。ただし、例外事由該当者については、対抗措置が発動された場合、結果的に、その法的権利または経済的利益に何らかの影響が生じる可能性があります。

③ 上記の取り組みに対する取締役会の判断およびその理由

当社は、前記② 1)記載のとおり、本プランは企業価値ないし株主の皆様共同の利益の確保・向上をその目的としており、基本方針に沿うものと考えます。特に本プランは、1)株主総会において本プランを廃止する旨の議案が承認された場合には本プランはその時点で廃止されるものとしており、その存続が株主の皆様の意思にかからしめられている点において株主の皆様のご意思を重視していること、2)大規模買付行為に関する評価、検討、意見形成、代替案立案および大規模買付者との交渉を行うにあたり、取締役会が独立した第三者的立場にある専門家の意見を取得できること、3)独立性の高い独立委員会の設置を伴うものであり、対抗措置の発動に際しては必ず独立委員会の勧告を経る仕組みとなっているうえ、独立委員会は更に独立した第三者的立場にある専門家の意見を取得できること、4)対抗措置の発動、不発動または中止に関する判断の際に拠るべき基準が設けられていること等から、当社は、本プランは当社の企業価値ないし株主の皆様共同の利益を損なうものではなく、当社の取締役の地位の維持を目的とするものではないと考えております。

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの事業展開上、経営成績および財政状態に影響をおよぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。当社グループは、これらリスク発生の可能性を認識した上で、発生の予防および発生した場合の対応に努める方針であります。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成21年6月26日)現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 市場環境

当社グループの売上高の内訳は、軸受等が全体の85%程度、諸機械部品は15%程度でありますが、当面、この傾向に大きな変化はないものと考えております。また、新たな事業への進出は、現在のところ考えておりません。

当社グループの製品は、国内外のエレクトロニクス関連機器、工作機械、自動車・自動二輪車をはじめ、ロボット、建設機械や一般産業機械等の幅広い分野で使用されております。従いまして、日本、北米、欧州、アジアを含む当社グループの主要市場における景気後退およびそれに伴う需要の縮小は、当社グループの経営成績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。

 

(2) 為替変動

当社グループは、北米、欧州、アジアをはじめとした世界市場へ製品の販売を行っております。そのため、為替予約等により為替相場の変動リスクをヘッジしておりますが、そのリスクを全て排除することは不可能であります。また、米国、オランダなどの海外連結子会社における売上、費用、資産を含む外貨建て項目は、連結財務諸表作成のために円貨換算しており、為替相場の変動の影響があります。

 

(3) 海外における事業活動

当社グループは、海外市場における事業比率が高まってきているため、海外諸国の法律、規制等の変更や、政治、経済等の混乱等により、事業活動に影響をおよぼす可能性があります。

 

(4) 製品開発

当社グループが生産・販売する軸受等は、販売戦略の根幹である「ユーザーに密着した提案型営業活動」により収集されたユーザーニーズを反映させた製品であり、競合他社製品との差別化を図った製品を多数開発し、市場に投入しております。しかしながら、品質、性能の優位性よりも廉価な類似製品に需要が傾斜した場合、当社製品の付加価値に見合った販売価格の設定が困難になる恐れがあります。

 

(5) 生産体制

当社グループは、常に変化する国内外市場の需要と短納期化の要請に応えるため、資材、生産設備等の先行投資が不可欠であると考えております。従いまして、ユーザーからの需要の変化に柔軟に対応できる生産体制の維持・改善に努めておりますが、予想を超える短期間での需要の変化は、供給の遅延やコストの増加を招く恐れがあります。

 

(6) 大規模災害の発生

当社グループの生産拠点において、地震等の大規模自然災害やその他の災害が発生した場合、生産設備や製品、仕掛品等の破損により、生産機能が低下または停止し、業績に影響をおよぼす可能性があります。

 

以上のような様々なリスクが存在しておりますが、ここに記載したリスクが当社グループの全てのリスクではありません。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、「社会に貢献する技術開発型企業」を経営理念として掲げ、軸受等の製造・販売を通じて内外社会に貢献し、社会の信頼を得ながら発展する国際企業を目指しております。規模の大きさのみを追うのではなく、質の高い企業であることを目標に、ユーザーニーズに即した高付加価値製品の開発を使命として、当社のブランドである『IKO』(アイケイオー)が意味するところの、常に当社の製品が、革新的で(Innovation)、高度な技術に立脚し(Know-how)、そして創造性に富む(Originality)製品であるよう、全社を挙げて取り組んでおります。

現在、研究開発は、技術センター、開発センター、製品開発推進部および生技センターが中心となって、製品開発、素材研究等を推進しております。そして、これらの部門および各工場と、ユーザーニーズを素早く捉える営業技術部門との相互連携により、永年培った軸受製造技術と精密加工技術をベースに、新製品の開発はもとより、地球環境に配慮し、環境負荷を低減する製品開発にも取り組んでおります。

当連結会計年度における研究開発費は、軸受等の新製品開発や素材研究、製造技術研究等を中心に1,086百万円でありました。

なお、当社グループは、軸受等ならびに諸機械部品の製造・販売を単一の事業として運営しているため、事業の種類別セグメントおよび事業部門は一括して記載しております。

 

7 【財政状態及び経営成績の分析】

(1) 連結の範囲について

当社グループの連結財務諸表は、当社および連結子会社7社(国内販売子会社2社、海外販売子会社2社、国内製造子会社2社、海外製造子会社1社)より構成され、非連結子会社6社については、小規模で、連結財務諸表上、重要な影響をおよぼしていないため、連結の範囲から除いております。
 なお、当社および連結子会社の連結売上高に占める割合は、当社および国内連結子会社が8割弱、海外連結子会社が2割強であります。

 

(2) 重要な会計処理基準および見積り

当社グループの連結財務諸表は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4 会計処理基準に関する事項」に記載のごとく、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成しております。その他、税効果計算上の繰延税金資産の回収可能性については、将来の課税所得を合理的に見積り計上しております。

 

(3) 当連結会計年度の経営成績の分析

当連結会計年度の日本経済は、前半は原油・原材料価格の高騰等により減速傾向を強めながらも比較的堅調に推移しました。しかし、秋口以降、米国に端を発した金融危機が実体経済に波及し、一転して、世界規模で急激かつ大幅な景気後退に見舞われました。

このような情勢のもと、当社グループの売上高は、前連結会計年度に比べ20.8%減の41,281百万円となりました。部門別売上高は、軸受等が前連結会計年度に比べ21.1%減の35,478百万円となり、諸機械部品の5,803百万円(前年同期比18.7%減)とあわせて41,281百万円となりました。また、国内・海外に分けてみますと、国内売上高は、景気の悪化に伴い、下半期には製造業を中心に大規模な生産調整と急激かつ大幅な設備投資の凍結・抑制等が相次ぎ、かつてない売上の落込みとなりました。当社の主要顧客先である半導体製造装置・電子部品実装機等のエレクトロニクス関連機器や工作機械向け等をはじめ、国内代理店向けも売上が減少し、前連結会計年度33,539百万円に対し24.9%減の25,182百万円となりました。海外売上高については、上半期は比較的堅調に推移しましたが、下半期は金融危機の影響が広がり、エレクトロニクス関連機器や工作機械向け、代理店向け等の売上減少や為替変動によるマイナス影響を受けたため、前連結会計年度18,561百万円に対して13.3%減の16,099百万円となりました。また、海外売上高比率は、前連結会計年度の35.6%から39.0%と3.4ポイント上昇しました。

このように、世界規模で悪化した景気の影響により当社グループの主要顧客先である工作機械、半導体製造装置・電子部品実装機等の業界は、厳しい状況が続くものと予想されます。さらに、中国市場においては一部下げ止まり感が出てきているものの、世界経済の回復はまだ時間がかかるものと思われます。当社グループとしては、引き続き「ユーザーに密着した提案型営業活動」を推進し、売上高の増加を目指していきます。

売上原価は、原価低減に努めるとともに、受注に見合った生産調整の実施等により収益悪化の抑止に努めましたが、大幅な売上高の減少とそれに伴う操業度の低下等の影響により28,034百万円となり、売上原価比率は4.2ポイント上昇し67.9%となりました。

販売費及び一般管理費は、減収による変動経費の減少、事務合理化、経費削減等を徹底して推し進めた結果、前連結会計年度より302百万円減少の10,457百万円となりましたが、売上高に占める割合は、前連結会計年度20.7%に対して25.3%と4.6ポイントの上昇となりました。なお、売上原価ならびに販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費は1,086百万円と、売上高に対して2.6%であり、業績の悪化により前連結会計年度に比べ64百万円減少しましたが、当社グループの業容拡大に必要不可欠である新製品開発等を中心に活動を行いました。

以上の結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ5,362百万円減益(前年同期比65.8%減)の2,790百万円となりました。

営業外損益では、資金調達による支払利息の増加等により、営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は△118百万円となり、経常利益は2,672百万円(前年同期比66.9%減)となりました。さらに、減損処理による投資有価証券評価損1,562百万円を特別損失に計上した結果、税金等調整前当期純利益は1,114百万円(前年同期比84.3%減)となりました。

法人税等および法人税等調整額は、あわせて668百万円を計上し、その負担率は60.0%となりました。税金等調整前当期純利益から法人税等および法人税等調整額を差し引いた当期純利益は、前連結会計年度より3,121百万円減少し445百万円(前年同期比87.5%減)となりました。その結果、1株当たり当期純利益は6円06銭となり、当社グループの主要な経営指標の一つである自己資本当期純利益率(ROE)は前連結会計年度に比べ5.2ポイント低下し、0.8%となりました。

 

(4) 当連結会計年度の財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ3,739百万円減少し81,021百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末に比べ3,427百万円減少し53,844百万円となりました。これは主に、現金及び預金が12,559百万円と前連結会計年度末に比べ2,245百万円減少し、受取手形及び売掛金が6,480百万円減少し6,719百万円となったことや、製品、仕掛品等のたな卸資産が4,403百万円増加し30,998百万円となったことなどによるものです。固定資産は、前連結会計年度末に比べ312百万円減少し27,177百万円となりました。これは主に、土岐工場の用地取得等により有形固定資産が18,844百万円と2,100百万円増加したこと、投資有価証券が2,368百万円減少し4,874百万円となったことなどによるものです。

負債は、前連結会計年度末に比べ468百万円減少し25,288百万円となりました。これは主に、長期借入金12,722百万円等の増加と、支払手形及び買掛金3,237百万円、未払法人税等1,499百万円、転換社債7,586百万円等の減少によるものです。

なお、運転資金の効率的な調達を行うため取引金融機関と40億円のコミットメントライン設定契約を締結しております。

純資産は、前連結会計年度末に比べ3,270百万円減少し55,733百万円となりました。これは主に、自己株式を1,209百万円消却したこと、利益剰余金1,948百万円、評価・換算差額等2,530百万円等の減少によるものです。この結果、自己資本比率は68.8%、1株当たり純資産額は758円70銭となりました。

 

キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「第2事業の状況 1業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。